暑い、面倒、だからシャワーだけですませたい。でも、入浴しないとダメ?
血流をよくすることで、さまざまな効果が得られる入浴。でもこの季節は、暑くてバスタブに浸かるのがちょっとツライな〜と思ったり、帰宅してすぐにスッキリしたいし、疲れているから、バスタブにお湯を溜めるのは面倒だな〜と思ったり。そこで、20年にわたって3万人以上の入浴を調査してきた入浴科学者、東京都市大学教授の早坂信哉先生に、シャワーだけでも入浴に近い効果が得られる方法がないか、お聞きしました。
Withコロナの新生活様式には、バスタブよりシャワーかも?
「バスタブに浸かると、全身にくまなくお湯が触れるため体温が上がりやすくなります。そして体温が上がることで血流がよくなり、さまざまな健康増進効果が得られます」と早坂先生。温まることでコリや疲れがほぐれたり、深部体温が上がることで睡眠の質がよくなったり、リラックス効果が得られたり。
「40℃のお湯に10分間、肩まで湯船に浸かる全身浴を毎日行うことが、もっとも健康増進効果が得られるのですが、シャワーだけでも、近い効果を得ることができます。それに、新型コロナの影響で新しい生活様式が求められる今、バスタブにお湯が溜まるのを待たずに帰宅後すぐに全身の汚れを落とせるシャワーにはメリットがあると思います」
浴び方を工夫すれば、シャワーでも体温を上げられる!
どのくらいの温度で、何分くらい浴びるのがいいのでしょうか。「シャワーでは、40℃のお湯で10分浴びても0.1〜0.2℃しか体温は上がりません。そこで、シャワーを浴びながら足湯をするのがおすすめです」
バスタブに10cmくらい42〜43℃のやや熱めのお湯を張っておき、その中でシャワーを浴びるのが手軽。それも面倒なら、栓をしたバスタブの中でシャワーを浴びて、お湯をためながら浴びてしまうのも手だそう。
「足湯を10〜20分するだけでも、体温は0.2〜0.3℃上がるので、シャワーとの相乗効果があります。さらに仕上げとして3分間くらい、少し熱めの43〜44℃のお湯を浴びると、体温1℃アップに近づけます」。このときはシャワーヘッドを手持ちするのではなく、なるべく高い位置で固定する方がより効果的とも。「頭から全身にくまなくお湯がかかるので、効率よく体を温められます。手持ちで浴びる場合は、末梢から。手先から肩へ、足先から付け根に向けてシャワーをあててください」。
シャワーでもアロマで香りを楽しんで、よりリラックス
よりリラックスしたいなら、アロマキャンドルを使ったり、洗面器や足湯をしているバスタブにアロマオイルを垂らしてもいいそう。「シャワーの湯気で香りがバスルーム全体に広がりやすくなるのでおすすめですね。また、バスルームを少し暗くする、というのもリラックスできるので、電気をオフにしてアロマキャンドルだけでシャワーを浴びるのもいいかもしれません。ただし、火の取り扱いには注意を」
また、入浴に近い温熱効果を得るためには、体を急に冷やさないことも大切。「シャワーのあとすぐにエアコンや扇風機の風を直接受けるのは、避けたいですね。また、シャワー後に汗をかいてしまったら、すぐに着替えて体を冷やさないようしてください」。今日からすぐにできそうなことばかり。さっそく試してみませんか。
取材・文/河村美枝