個人や企業のコンサルタントを行う筆者が、彼らとかかわってきたなかで気づいた化粧品の力。それは、人生をシフトするきっかけにもなるほどのものだった⁉ 自分の人生、自分が主役‼ 次への一歩の背中を押してくれるストーリーをお届けします。
洗顔してますか?
心が風邪をひいたようになってしまうことが、私にも時折ある。
そういうときは、なんとなく気持ちがすぐれなかったり、エンジンがなかなかかからなかったりする。私のもとを訪れるクライアントの方にもよく見られる症状だ。
仕事やプライベートに忙しく、頑張り屋さんだからこそ、自分のそんな状態をそのままにはしておけなくて、なんとか自分を立て直そうと、私のセッションを受けにきてくれる。
「夜眠れていますか」など、メンタル面における不調などもお聞きするが、それとは別に必ず聞くようにしていることがある。
「洗顔するのが億劫になったりしてはいませんか?」
というものだ。
そうすると、「実は、メイクはメイク落としで軽く落としますが、きちんとした洗顔は最近、ちょっと・・」とおっしゃる方が10人中8人はいらっしゃる。
洗顔という自分のためだけのささやかな儀式。
そんなとき、私は決まってこんな風に提案する。
「朝と夜、儀式のように、ていねいな洗顔をしてみませんか?」と。
やり方は簡単だ。
まず、朝、10分でいいから早く起き、今日の仕事のことなど考えず、ただただ白い泡を作る。
そして、手のひら全体で泡の柔らかさを感じ、あ〜気持ちいいな、という感覚を味わう。
両手を使って、その柔らかい泡で顔を優しく包み込み、泡でお肌を優しくマッサージするように洗いながら、泡の香りと泡の感触を十分に感じてみる。
最後に、ぬるま湯で、ていねいに泡を洗い流し、お気に入りのタオルで、優しく水分を拭き取って終了だ。
夜寝る前の洗顔なら、お肌にお疲れ様の気持ちを込めて同じように洗顔する。
昼間あった嫌なことが思い浮かんだら、心の中で「キャンセル」と言うといい。
洗顔という儀式を、毎日のオンオフのスイッチにするのだ。
最初はめんどくさいと感じるかもしれないけれど、肌は大切にされたことに対して、思ったより早く変化を見せてくれる。
そのうえ、すっきりとして朝も夜も過ごすことができるので、気持ちがぐーんと落ち着くはずだ。
洗顔を制する者は、人生を制する!
最初にも書いたが、実は、私もそんなにタフではない。
今のように、多くの方の人生の相談を受けるようになって18年になるが、その前の15年間は広告代理店の営業をしていて、24歳の時からずっと何社かの化粧品メーカーを担当してきた。
私が荒波にもまれながらもなんとかやってこられたのは、この朝と夜の洗顔を大切にしてきたからかもしれない。
洗顔の大切さを私に教えてくれたのは、最初のクライアントであったエリザベスアーデンのマーケティングの方だった。
当時、私の手を取り、泡の作り方や肌の扱い方など教えてくれた少し年上だったKさんは、今は何をしていらっしゃるのだろうか。
ちょっと早口で「洗顔を制する者は人生を制する。自分を大切にする基本よ」と言ってくださったのは、とても印象的で今でも覚えている。
サイトを調べてみたら、今もエリザベスアーデンのアドバンス セラマイド カプセルズ(60カプセル ¥5,680・税別/エリザベスアーデン)は購入できた。
洗顔後、肌にのせ首まで伸ばしてみると、20代の自分を思い出す。
肌は美容液の感触や当時のことを覚えていて、何とも言えない甘酸っぱい気持ちになる。
好きな化粧品はたくさんあるが、一つひとつに、このような思い出がある。
さて、洗顔、されど洗顔。
ぜひ朝と夜の自分を大切にする儀式として取り入れてみてほしい。
文/井上野乃花 写真/塚田亮平