女性の一生は「女性ホルモン」と深い関係があります。生理が始まり、閉経を迎えるまで「女性ホルモン」のバランスが身体と心に大きく影響。肌や髪の美しさを保つ働きがありますが、生理トラブルや自律神経の乱れ、子宮の病気の原因にもなります。メリットもあり、デメリットもありの「女性ホルモン」。どうつき合っていくべきなのか? 婦人科医の成城松村クリニック院長、松村圭子先生におうかがいしました。
女性ホルモンが女らしさをつくる?
大きな胸やお尻、色っぽさは、女性ホルモンの成せるワザ? 更年期や閉経で女性ホルモンの分泌量が減ってしまったら“女”じゃなくなるの? そう考えると心がざわつきますが、本当のところはどうなのでしょうか。
「ふたつの女性ホルモンのうち、エストロゲン(卵胞ホルモン)は思春期に乳房を膨らませ、丸みを帯びた身体のラインを作り、髪のツヤや肌のハリに関係があります。しかし、体型や肌や髪の美しさには、遺伝、食事や睡眠、ストレスといった生活環境も影響します」と松村先生。
負けず嫌いな性格は男性ホルモンが関係。
女性ホルモンの影響はあるものの“女らしさ”を構成する要因をすべて女性ホルモンとするのは間違い。とくに性格は「女性ホルモンよりも男性ホルモンの影響が大きい」と、松村先生は言います。
「分泌量は少ないですが、女性の体内にも男性ホルモンはあり、男性にも女性ホルモンはあります。闘争心が強かったり、好戦的な性格は男性ホルモンが関係。更年期や閉経で女性ホルモンが減少すると男性ホルモンが優位に。多少なりとも男性的な性格になることはあります。また女性の社会的進出が進み、リーダーとしての役割を果たす女性が増えています。競争や勝負を意識する状態では男性ホルモンが活性化する可能性も。そして、ストレスが増えることでホルモンバランスが乱れ、男性ホルモンの分泌が増える場合もあります」(松村先生)
恋愛やセックスが女性ホルモンを増やすというのはホント?
「フェロモンと女性ホルモンを同一視しがちですが、これは別物です」と松村先生。
「フェロモンは動物などが異性を呼び寄せる働きを持つ化学物質です。人間にはフェロモンを分泌することがわかっていますが、言葉でコミュケーションができるようになり、フェロモンを感知する機能が退化したと考えられます」(松村先生)
もうひとつ気になるのは「セックスで女性ホルモンが増える」という説ですが…。
「セックスで女性ホルモンの分泌が促されるということはありません。恋愛している状態やセックスが必ず幸福であるとは限りませんよね。相手との関係でストレスに悩まされたり、心の通わないセックスであれば、ホルモンバランスの乱れにつながることもあります」(松村先生)
女性ホルモンについて、意外と勘違いしていることが多いことを再認識。正しい知識を得ながら、女性ホルモンとつきあっていきたいものです。
写真提供・取材・文/小林賢恵