みなさん、こんにちは。
大竹稽がお送りする「禅の美容室」。
五月になりました。日本の各所で、バラフェスティバルが開かれていますね。
バラといえばフランス、フランスといえばベルサイユ。バラをネタに会話が弾みます。ま、ぼくなんかは、あまりの品種の多さに、「どんなバラが好きですか?」と聞かれたら「アカケイ(赤系)」と、とりあえず、答えることにしています。みなさんは、どんなバラが好きですか?
さて、前回は、笠和尚の「一挙三得」をお送りしました。掃除機に頼らず、雑巾掛けをすることで、「身体」「生活」「心」が美しくなるというお話でした。さて今回は……。
コレとは?
「皿もコップもハシもスプーンもいらない食べ物は?」「みなさんが、仕事中でも就寝中でも口にしているものは?」
それがタイトルの「コレ」。
コレは空気です。
簡単なクイズで申しわけない……。
「呼吸は生気なのです。新鮮な気は、呼吸によって保たれるのです」
呼吸、息が大事なのは、古今東西、同じこと。だって、息をしていないということは、死んでいるということですからね。
フランス語で「呼吸・息」はrespirationです。英語でも、breathともう一つ、同じつづりの単語があります。この単語の中に、「spir」がありますよね。これはラテン語のspirtus由来の言葉です。みなさん英語のspiritでご存知のように、これは「精神・心」を意味しますね。
そうなんです。西洋でも、呼吸と精神は切り離せないものなのです。いわば、どんな空気を、どのように吸っているか、ここに注意する。
準備運動も、ヨガも瞑想も、つまるところ呼吸。坐禅の根本も、呼吸にあるのです。
しかし、わたしたちの呼吸には、少々、難があるようです。
「現代人の呼吸は浅い。短い呼吸をしている人が多い。そのような呼吸では、悪い気がたまってしまいます。邪気がたまってしまいます。そうして自分を押し殺しているんです。呼吸はあなたの力を目覚めさせるものですから、ないがしろにしてはいけません」
「吸う」より「吐く」に注意する。
癒しや、リフレッシュのために、海や山へ行く人は多いですよね。みなさんはいかがでしょう? 海? 山?
わたしは三浦半島の先端に住んでいることもあり、どちらかというと、海が好きです。
しかし、海にも山にも共通していること、それが「新鮮な空気」。どちらに行くにしても、わたしたちは、この「新鮮な空気」を吸うことで、身体を浄化し、力を取り戻しているのでしょうね。
笠和尚は、最後に、呼吸のヒケツを伝えてくれました。
「『しっかり呼吸をしましょう』と言いますと、みなさん、まず吸うことから始めようとします。体の力を目覚めさせるには、まず、しっかり吐くことが大事です。しっかり吐けば、自然としっかり吸い込むことができるのです」
文・写真/大竹稽(思想家、教育家)