みなさん、こんにちは。
大竹稽がお送りする「禅の美容室」。
桜が咲き、桜が舞い、桜が散る。日本の風情はほんとうに奥ゆかしいですよね。このコラムが、桜が舞い散るようにみなさんの心に沁みていくことを願っています。
前々回、前回と、笠和尚から「僧堂」という一般公開されない場所のお話を伺っています。「精進」、そして「自ら動く」という心構えが美容になる、ということでした。さて今回の話題は……雑巾掛け!
掃除機はダイ○○もいいですが……。
みなさん、掃除機はどのメーカーかお使いですか? やはり、「吸引力の変わらない」ですか? あるいは、ロボット掃除機かもしれませんね。
世の中、便利が追求され、我が手我が身の代わりをしてくれるマシーンがどんどん開発されています。それはそれで、一つの「方向性」ではあるのですが……。
しかし、もっとも美容につながり、もっともお金のかからない掃除の仕方があります。
いやはや……すでにヒント過剰で申し訳ないですね。
もちろん、「自分の身体」です。
雑巾がけ。
僧堂にも、もちろん機械はあります。例えば、冷蔵庫。さすがに冷蔵庫がない修行場は、私は知りません(寡聞ゆえにかもしれませんが)。あるいは、電灯。あるいは電話。それでも、いわゆる「家電三種の神器」のうち、テレビはまずありません。
私たちの家に当たり前のようにあるものによって、私たちの生活がラクになったのは確かでしょうが、美がラクして手に入れられないのは、みなさんご承知の通り。
そこで、僧堂の生活からヒントをもらいましょう。
そのヒントの一つが雑巾がけです。
「雑巾がけは全身運動です。昨今の若者は、畳の拭き方など知らないでしょう。雑巾の適当な洗い方や絞り方も知らないため、力を余計にかけてしまいます。だから、大変な作業になってメンドクサクなるのでしょうね。しかし、適正なやり方であれば、ちょうどいい運動になるんです。三日坊主にもならないでしょう」
畳の拭き方は、畳の目に沿って固く絞った雑巾で。
雑巾を握り込んで絞るなんて、とんでもない。順手と順手で絞る横絞りでも、無駄な力がかかってしまいます。順手と逆手で絞る縦絞りが、正解ですね。
雑巾がけは一挙三得。
「雑巾がけは全身運動です。それによって、身体はリフレッシュします。また、雑巾掛けをすることで、常に部屋を整えておこうという意識がもてます。無駄なものを置いていたら、時間も労力を余分にかかりますから。そして、家具や廊下や畳の痛みにも気づきますので、物持ちもよくなります。生活自体がシンプルで美しいものになります。こうして、私たちの心も清められていくのです」
部屋や家具を雑巾で拭いてみましょう。それを続けることで、「身体」「生活」「心」が美しくなっていく……。一挙両得どころではありませんね。
さて、みなさん。今度の週末は、できるところを雑巾掛けしてみませんか?
ちなみに、雑巾掛けを怠らずに続けると、雑巾すら汚れることがなくなるそうですよ。
文・写真/大竹稽(思想家、教育家)