大阪長屋の古民家に暮らし始めて早二年。この二年で時間の流れ方や物事のとらえ方がじわじわと変わってきました。今年もそんな日々の暮らしの中で感じたことと美容について(まるで古民家暮らしとは関係のないことも多々ありますが…)、気の向くままに書いていきたいと思いますのでどうぞお付き合いよろしくお願いいたします。
ある日突然襲ってきた頭皮の不快なかゆみ。
毎日きちんと頭を洗っているはずなのに、ある朝突然頭がかゆいかゆいとなったことはありませんか? 今年の冬はとにかく乾燥がすごかった。僕の住んでいる大阪では雨が降った日なんて数えるほどしかなかったし、1日中まとまって雨が降った日なんてほとんどなかった。そして春への季節の変わり目のダブルパンチがある朝僕の頭にも起こったのだ。
今まで美容に特に興味があったわけでもないのだが、40代に突入したことや、このコラムを書くようになったこともあり、フェイシャルケアは少しはするようになっていたが、頭皮に関しては本当に無頓着であった。毎日髪の毛を洗って清潔にさえしておけば、ふけもかゆみも防げるなんて単純に思っていたのが大きな誤りだった。少し考えたらすぐわかるように頭皮も肌と変わりがない。石鹸で顔を洗ったままにしておくと肌がパリパリするように、頭皮もパリパリになるのだ。そんなことにも気づかなかったなんて……。
そんなときにふと椿油を思い出した。実家のドレッサーにおいてあったのだろうか。懐かしさも相まって、大島椿の「大島椿」(60ml ¥1,500・税別/大島椿)を購入してみた。真っ赤な椿が描かれた箱から取り出すと、レトロで可愛いガラスのボトルが現れた。けばけばしいラベリングが多い中で、シンプルで洗練されたデザインはなんとも気持ちいい。住んでいる古民家にもすっと馴染んだ。さすがは90年も愛されているロングセラーだ。
まずは一滴、黄金色のオイルを手に取ってみた。オイルといってもすごくサラッとした感触で香りも一切ない。のばすとそのままスーッと馴染んでいくのが分かる。椿油は、人の皮脂にも含まれるオレイン酸トリグリセリドという成分を多く含むために刺激が少なく、肌に自然となじんでいくそうだ。
劇的に変わったその即効性に驚き!
さて、次はいよいよ頭皮ケアだ。まずはティースプーン1~2杯程度を少しずつ指先に取り、シャンプー前の乾いた頭皮に指の腹を使って優しく擦りこむようになじませていく。てっきりシャンプー後にオイルケアをすると思っていたので驚いた! この時、円を描くようにマッサージするのがポイントだ。マッサージをすることで頭皮が柔らかくなり、毛穴が開く。そこに皮脂と同じ成分を持つ椿油が染み込むことで、落ちにくい皮脂汚れやフケを無理なく浮かせることができるのだ。
頭皮全体にオイルが行きわたったら、そのまま10分~15分程度放置する。蒸しタオルなどで髪全体を包み込むとさらに効果は高いそうだ。僕はこの時間を使って入浴をしている。体が温まってより頭皮の毛穴も開くんじゃないかと思っているのだがその真意は……。15分ほど置いたらぬるま湯で髪と頭皮をよくすすぎ、後はやさしくシャンプーをし、コンディショナーやトリートメントをいつも通りするだけだ。オイルを塗りこんだのでベタつくのかなと心配したが、そんな感じも全くせずすごくしっとりと仕上がった。短髪で剛毛な僕の髪でさえ柔らかくなった感じだ。髪が乾くとなんだかサラッとした指通りだ。
肝心の頭皮はというと、翌朝になってもまるでかゆくない。少しかいてもフケなどが落ちてくることもなかった。髪は依然としてサラッとしたまま、いつも寝起きは爆発しているようなボリューミーなヘアなのに、こざっぱりとまとまっていた。たった1回のケアだけでこの劇的な変わり様とは! その後は2、3日に一回このケアを行っているのだか、それ以来頭皮の調子はすこぶるいい。
椿油は頭皮ケアだけでなく、洗い流さない髪のトリートメントとしてやオイルパックにも使え髪にハリとコシを与えてくれるそうだ。スタイリング剤にすると、しっとりとまとまった艶髪にしてくれる。肌馴染みがいいのでもちろん頭だけでなく、顔や体にまで使える万能アイテムだ。
我が家の中庭にある椿は今年も可愛いピンクの花をつけた。花は可愛いのだが、椿にはチャドクガという毒蛾が卵を産む。こいつが本当に厄介なので、う~んとも思っていたのだが、この椿油に出会い、椿への愛着がさらに増した。
文・写真/楠井祐介