人生2回目の巣ごもり生活。
こんにちは、美容ジャーナリストの山崎多賀子です。私は今年還暦を迎えます。で、読者のみなさんよりかなり年上だと思うので、その分、人生経験もあり、失敗や反省もたくさんし、積み重ねから生まれた山さん流の『コトワリ』があるわけで。なんて言いながら、自分ができているわけじゃないけれど…いろいろな気づきから、私自身が自分に言い聞かせていること『コトワリ』を今回から書かせていただきます!
新型コロナ禍で生活は一変し、2か月もの外出自粛を強いられた。レジャーや飲み会はおあずけで、おしゃれする機会もなくなり、コロナ禍前の「何でもない日常」がどんなに幸せなことか、噛みしめている人も多いでしょう。
私も久々に噛みしめています。実は2回目です。
1回目はもう14~5年前になるのかな。乳がんが見つかったとき。先の見えない恐怖のなかで、当たり前ではなくなった「何でもない日常」を喉から手が出るほど取り戻したいと願った。その後の手術と抗がん剤治療で足かけ1年弱の巣ごもり生活も経験済み。
走り続ける人生は大切なものを見落としてしまう。
ただ、じっさいの巣ごもり生活は、私の価値観を変えるほど、良い経験だったの。
44歳でがんになるまでの私は、土日もなく仕事に追われ、楽しみは晩酌という生活。今振り返っても全力疾走していたと思うし、その時期に得た知識や経験が、今の私の多くをつくっているのだから、後悔はない。ただ、わき目もふらずに走り続けたものだから、移ろいゆく自然の風景とか、学んでみたいテーマとか、仕事以外の交流とか、すべてチラ見しながら通り抜けてしまった。
フリーランスの私にとって仕事は評価を得てなんぼの世界で、ある意味自分との戦いでもあったから、きっと、怖い顔をしているときが多かったし、人にやさしくする時間も削ったと思う。自分の名前のつく連載を複数いただけて、多分、天狗になっていた。
でも病気で強制的に立ち止まり、あたりを見まわしたら、道端の草花、鳥の鳴き声、きれいな雲やおいしい空気。美しいものがたくさんあることに気づけたの。苦手な人がじつはとても親切な人だと知ったこともうれしかったな。煩わしい人間関係のノイズから解放される巣ごもりは、周りにある小さな幸せに気づき、これまでを振り返り、素の自分を見つめなおす豊かな時間になったの。収入は減るけどね。
だから今回も、またあの時がめぐってきたのだなと思った。
周りにある小さな幸せに気づくと人生は豊かになる。
外に行けなくても、やりたいことはたくさんあったので、じつはわくわくした。
手つかずの大量の不用品を整理したら家の中がすがすがしくなった。ずっと作ってみたかったビーフシチューを圧力釜で作った。あ、市販のルウです(笑)。でもレストランみたいな味に仕上がって、うひょー!と叫んでしまった。連絡を取り合いたい人とだけのZOOMおしゃべり会は楽しい。
スキンケアも、せっかく紫外線に当たらない今だから、ピーリングと美白とリンクルケアを重点的に。「今きみは何が欲しいのかい?」と肌と対話しながら手をかけてあげると、つやとハリがでてきて、肌細胞たちが「ぷりぷりっ♪」と喜んでいるのがわかるのよね。
自粛と思うから窮屈でネガティブな感じがすれけれど、いまは興味の視線を外から内へむける、なかなかない時間と思うと豊になれる。
みんなも家やご近所で過ごして、それぞれに小さな幸せの発見がきっとあったと思うの。これから始まる「何でもない新しい日々」にぜひ、その気づきや発見を忘れないで暮らしてほしいな。そしたら以前よりも少し優しくなれて、笑顔が増えると思うのです。
DO!山さん流コトワリ
・ここ最近の発見や気づき、幸せと思ったことを、なんでもいいから書きだしてみよう。
・書きだしたものをみて、自分は何が大切で何が幸せと感じるのか確認しよう。
・一日一回は、自分が楽しいと思う時間をもとう。
・もし一日を無事に過ごせたら、それは幸せなことだと感謝しよう。
文/山崎多賀子 イラスト/にしだきょうこ
※コロナ禍、NY日本人がん患者さんの記事を書きました。よろしかったら!
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/72824 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/72826