美のプロだからこそ知る、きれいの裏側をのぞく好評連載。今回ご登場いただくのはヘア&メイクアップアーティストの岡田いずみさん。
ナチュラルでその人の肌質に溶け込みながらも美しいオーラを放つ“絶品肌”は、まさに岡田さんの真骨頂。自身のことを〈肌フェチ〉と呼び、〈肌師〉として多くの女性たちの輝くような笑顔を引き出しています。
肌づくりのこだわりを教えてもらった前編に続いて後編では、いずみさんのお気に入りコスメや手放せない仕事道具、キレイを生み出すテクニックを教えてもらいます。
たっぷりの泡で顔を包むように、汚れだけ取り去る意識でやさしく洗う。
――撮影現場での必携コスメを教えてください。
「スキンケアからメイクはスタートします。
このTHREEのクレンジングフォームは、ふわふわの泡で出てくるので肌への刺激が少なく、やさしい洗い心地。敏感肌でも安心です。
仕事柄、みなさんがメイクルームでメイクを落とす様子を見ることも多いのですが、クレンジングや洗顔の方法を間違えている方が、実はとても多いんです。ゴシゴシと力任せに洗ったり、洗顔料の使用量が不足して、肌に刺激を与えてしまっていたり……。
クレンジングと洗顔を見直すだけで肌はグンとキレイになります。たっぷりの泡で顔を包むように汚れた分だけ取り去る意識でやさしく洗う。この基本は美肌に必須、かつ一番の近道です。
さらに洗顔後すぐに使う、このクレ・ド・ポー ボーテの美容液ル・セラムも上質な肌づくりには欠かせない名品。肌タイプを問わず、肌調子をワンランク上に確実に引き上げてくれます」
スキンケア製品は、肌コンディションが悪くても安心して使え、肌を鎮静してくれるものを。
――続いて、保湿ケアのおすすめは?
「他のヘア&メイクさんも持っている方が多いのですが、アクセーヌのモイストバランスローション。女優さんやタレントさんがどんなに肌のコンディションが悪くても安心して使え、肌を鎮静。健やかな状態にしてくれるので手放せないですね。
あとはドゥ・ラ・メールの美容液ザ・コンセントレートとザ・リニューアルオイルは疲れた肌も一気にうるおしてくれます。メイク前に使うことで肌をなめらかに整えて弾むようなツヤ肌が続きます。メイクが格段に映える肌に」
冬は敏感肌や赤ちゃんにも使える保湿バームがマスト
――冬だからこそのおススメスキンケアもあるそうで…?
「冬に必ずプラスするのがソンバーユ! 敏感肌や赤ちゃんにも使える保湿バームで、肌をうるおしてツヤをキープしてくれます。安全で心地がいいというのは、みなさんの大切なお顔に触れるのでメイク現場ではとても大事にしていますね。いろいろなメーカーの馬油がありますが、軽くてのびがよく、美しいツヤの薬師堂のNO.7がお気に入りです」
アロマミストとストールで心から気持ちよく。
――では、欠かせない仕事道具は?
「メイクが美しく映えるためには、まず心から気持ちよくなっていただくことを大切にしています。メイクルームではリラックスして過ごしていただくために、必ず持っていくのがこちらの2つ。THREEのルームフレグランスアロマミストなどのアロマミストとアソースメレカシミヤのストールです。
部屋全体をふわっとアロマを香らせておき、体が冷えていらしたらストールでくるむようにしてあげると、表情がふっと和らぐんです。(私、杉浦の肩にもかけてくれながら)、ね、心地いいでしょう? さりげないことですが、気持ちからサポートすることを大切にしています」
THREEのルームフレグランスアロマミストは、タイムやティートリーなどのオーガニック精油とペパーミントエキス、茶葉エキスを配合。肌に触れても安心な天然のフレグランス。
肩にかけたり、ひざかけにしたりと便利に使えるアソースメレの大判のカシミヤストール。
触れられて気持ちいい指先でいるよう気をつけています。
――他にも欠かせないものは?
「さらに心地よさという点で私自身が気をつけているのが“指先”。みなさんのお顔に触れる部分ですから、触れられて気持ちいい指先でいるよう、最近はシスレーのハンドクリームを常に持ち歩いています。さらに爪が割れやすいのでベースコートで補強も。またこのukaのネイルカラー リムーバーはラベンダーにバニラやオレンジの香りがブレンドされた優雅な香り。リムーバーのツンとしたニオイが苦手な方も多いのでこれでケアするとすごく喜んでいただけます」
メイク道具はこまめに洗って清潔さをキープ、そして自然乾燥。
――肌に触れる点を大事にしているんですね。このソープも?
「はい、ブラシやパフ、スポンジなどのメイク道具はこまめに洗って清潔さをキープしています。直接肌に触れるものですから。このドクターブロナーのオーガニックシュガーソープを水で薄めた液で洗い、あとは自然乾燥を。ブラシ1本1本がふわっといい香りに仕上がります」
おすすめしたいのが“アイシャドウブラシでリップを描いてみる”。
――メイクアップについてはいかがでしょう?
「そうですね、最近、特に大人の女性から『赤リップが似合わない』というお悩みを聞くんですね。でも、誰でも絶対に似合う赤はあるはずなんです。
もし、しっくりこないと感じているなら、おすすめしたいのが“アイシャドウブラシでリップを描いてみること”です。通常の平筆のリップブラシでは輪郭がくっきりしすぎてメイク感が強く強烈に見えがち。毛先の丸いアイシャドウブラシなら柔らかい線が描けてふっくらとした印象に仕上がります」
まんべんなく丁寧にメイクするのではなく、最初にいちばんなりたい顔をつくる。
――他にもメイクのコツはありますか?
「メイクの手順も実は大事なポイントです。目もと、眉、チークの順にメイクして最後にリップを塗るという方が多いと思いますが、いちばんメイクをしたいところからはじめるのが、上手にメイクをするコツなんです。
赤リップをうまく使いこなしたいなら、リップから。そうすると自然と目もとに使う色や濃度、眉の描き方をリップに合わせるようになります。
まんべんなく丁寧にメイクするのではなく、最初にいちばんなりたい顔をつくる。すると、あ、眉の太さはこのくらいでいいんだと必要な分だけ描くべきポイントが見えてきますよ。なりたい顔を目指す方が、断然楽しいですし!」
目を輝かせ、行動するようなイキイキと躍動感のある意志のある顔に注目。
――いずみさんの思う2020年の顔とは?
「そうですね、ひと言でいうなら“意志のある顔”でしょうか。ただこの意志というのは『私はこう思う』と強く激しく自己主張するような強さではなく、トキメキに目を輝かせ、行動するようなイキイキと躍動感のある意志。
時代が令和に変わり、来年はオリンピックもあります。志も美容マインドももっともっと高く活動的になりそう。自己陶酔する美しさから新しい世界へコミュニケートする顔へ、やさしさと行動力のある女性がすてきに映るのでは?と思います」
気になるのは、光を宿すようなツヤのあるアイメイク
――具体的にメイクはどうでしょう?
「メイクで言えば目力が高まりそう。キリッとラインを効かせるのもすてきですが、目もとに光を宿すようなツヤのあるアイメイクが気になります。
まつ毛もマスカラレスのトレンドから変わり、パッチリ見開いてくるのでは? 2020年は久々にアイメイクを楽しんでみてはいかがでしょう。そうして美容を楽しむ自分の中のトキメキスイッチを、ポンと押してみてください」
2回にわたるお話、いかがでしたか? ふんわりと温かい空気をまとい、柔らかい笑顔の持ち主であるいずみさん。そんないずみさんに背中を押されたら、そう、トライしないわけにはいきません! おすすめの逸品コスメ、教えてくれたメイク技のどれかひとつでも、あなたの美容のヤル気スイッチを押すきっかけになればうれしいです。
撮影/国府田利光 取材・文/杉浦凛子