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Inner Care】【COLUMN

2020.07.19

「リモート婚活」って、どうでしょう?

男は流行に疎く、自分勝手。

男ってのは、女性からすると流行に疎い自分勝手なヤツらかもしれませんね。そんな男の一人ですが、ボーヴォワールなどの女性哲学者を研究してきた男からのアドバイス、一つ、いかがでしょうか。

さてさて、今回はなんですか………?

リモート婚活!!!

そりゃもう、ボーヴォワールもビックリでしょう。

リモートで、夫婦生活や子育てができるようになりますか?ってところ。

リモートで、握手やキスや抱擁ができるようになりますか?ってところ。

物事の本質や、自分の選択が見えづらいとき、哲学者は、推論を進め、極端な状況を想定しています。両極端を想定できれば、そこからターンして、自分がいるところに戻ってきましょう。

リモートキスは可能か?ま、できないでしょうね。パソコンにキスする自分、想像したくありません。リモート子育ても、同じく。

では、リモート婚活は?

極端から戻った時の判断奥義を伝えておきましょうね。

是非を問わず。

リモート婚活を、「いいかわるいか」で判断してはいけない、ってことですね。これもまた、必要があったから出てきたものでしょう?

しばしば、「◯◯なんてダメだ!」なんて言い様をする人がいますが、そんな人は、自分を貧しい世界に縛りつけてしまっているんです。そんな言い様は、心の様相でもあるんです。「ダメダメ」で満たされた心……、鳥肌たちませんか?

さらに、「ダメダメ」は、別の「ダメダメ」を呼び込んでしまうのです!まさに悪循環の極み!

「いいわるい」の判断ではなく、使い方、付き合い方を考えてみましょう。

自分だったら、リモート婚活をどのように利用するか?

問題は、「自分だったら、リモート婚活をどのように利用するか?」だけ。リモート婚活の「是非を問わず」とは、こういうこと。ここからの答えは全て、あなただけのものなのです。

たとえば、「全然わたしには向かないわ!」って答えも、全然オッケーでしょう。

「わたしやってみる!」、はい、ぜひやってみましょう。ちなみに、こんな私のような男にも恋人なるものはいましたが、そのうちの一人のフランス人女性とは、文通から恋愛が始まりました。もちろん、彼女はフランスにいましたよ。リモートですねぇ。まあ、いまどき、文通から始めようなんて、古典的でのんびりしたやり方は流行らないと思いますが、それでもいいじゃないですか?

なんなら、リモート婚活もしながら、文通もしてみたらいかがでしょう?

そしてやはり、会ってみないと人間はわかりません。いやいや、むしろ、会ってもなお人間ってわからないものです。婚活プロフィールなんて、全然アテになんないじゃん!っていう経験ほど、人間を成長させるものはありませんよね。

だから、リモートだろうがなんだろうが、出会いは必ず、リアルになるのです。身体を伴ったものになるんです。

当たり前ですよね。リモートキスができないんですから。

あるリモート婚活会場に、トンデモない世にも稀なイケメンがいたとしましょう。会ってみたら?「マジクサ!」って男だったらどうしますか?「風呂入ってんの !?」だったらどうします?

これが身体というもの。身体抜きに、人間は語れないのです。

だから、「リモート婚活」も、ただのきっかけにすぎません。

さて、人間の恋愛の特徴を最後に。

不在という現前。

恋人がいない。そんな時こそあなたの恋心がメラメラと燃え上がったことはありませんか? あたかも目の前にいるか、それ以上のリアルな感覚。それを、ボーヴォワールや彼女のパートナーのサルトルは、「不在の現前」と表現しています。

24時間引っついていたい、とか。1時間に必ず1回はメールでやりとりする、とか。そんな現前は、まあ、人生の豊かさにはつながらないでしょうね。

人間だけは、相手の不在を楽しむことができるのです(あ!「楽しむ」を、「裏切り」とか「不誠実」につなげないでくださいね!)。

リモートだろうが密着していようが、相手を想い、相手を慈しむ。そんな気持ちになれる相手に、あなたが巡り会えることを祈りつつ、今回はペンをおきましょう。

 

文/大竹 稽