見えない不安に勝つ、快眠の処方箋。
ニュースタンダードで生活リズムが乱れ、気づけば眠れない問題…。ぐっすり眠りたい!を叶えるために、睡眠博士・広島国際大学の田中秀樹先生に直撃!
悲観的に考えてしまう時には、ポジティブリフレーミングで心の痛みを和らげて。
――「リストラされる夢を見て、絶望で目が覚め、安眠できない」など不眠の声が、編集部に寄せられるようになりました…。
「何事も悲観的に考えてしまう時には、ポジティブリフレーミングが大切です。これは、つらい思いやネガティブなことも、肯定的に前向きに捉え直し、心の痛みを和らげる工夫です。
不安やストレスは気にすれば気にするほど、増強するので、悩んでいる時間を、笑いやユーモア、楽しいことを考える時間にしてみてはいかがでしょうか。
忘れかけていた夢や希望を思い浮かべると、ピンチをチャンスに変えられるかもしれません。周囲の笑顔、温かい言葉は不安や悲観的な考えから脱却する一つの方法です。また『今は、仕事のスキルアップや資格取得の時間にしよう』など、捉え方次第でストレスはモチベーションにもなります」
【快眠法1】太陽光の入る所(窓際1m以内)で、朝食をよく噛んで摂る。
――こんな状況下でも、心地良い睡眠を得る方法を教えてください。
「快眠のためには、体のリズムを整え、就寝前のリラックスが大切です。
朝起きたら、太陽光の入る所(窓際1m以内)で、朝食を。太陽光を浴び、朝食を摂ることで脳にある時計や腹時計がセットされます。また、しっかり噛むと、心の状態もアップできます。感情に関わるセロトニンは、リズム運動(よく歩き、よく噛み、深呼吸)で分泌を増やすことができるからです」
【快眠法2】バスタイムで、頭寒足熱&深部体温の自然低下状態を。
「就寝前のリラックスには、毎日のバスタイムが有効です。眠りによい体の状態は1.頭寒足熱、脳が興奮していなくて、手足の血行がよい状態をつくる。
2.深部体温(体の中の体温)がスムーズに低下する状態をつくる。寝る前に38~41℃のぬるめのお湯にゆっくりつかると脳や身体がリラックスでき、入浴後は深部体温(体の中の体温)がスムーズに低下しやすくなります」
【快眠法3】笑って泣いて副交感神経のスイッチを入れる。
――withコロナライフでも快眠するための田中流・ココロの処方箋をください!
「こんな時こそ必要なのが笑い、ユーモアです。笑いは免疫やストレスにも有効です。
また、泣くことも睡眠に有効です。涙を流すことで、副交感神経にスイッチが入り、リッラクスしやすくなります。時には映画や読書で共感の涙を流し、感情を解放しましょう。
また、失敗したときは『なぜ失敗したのか』、『どうすればよかったのか』、『今後同じことがあれば、こうしよう』と整理し、忘れることが大切です。つらい経験を忘れられないときは、それをいい経験に転換してしまいましょう」
【快眠法4】身近な人に思いきって甘えたり、任せてみる。
「もしも、気持ちが塞いで眠れない時は、いったん床から出て音楽を聴くなど、気分を切り替えましょう。完璧主義で几帳面な人ほど、一人でいろいろな思いを抱え込みがちです。特にこうした非常事態の中、それを続けると心身が悲鳴を上げて快眠は得られません。身近な人に甘えたり、任せてみる。そしてつらい時には遠慮せず助けを求め、しっかり休みましょう」
ここを深掘り!
苦しい状況をいかに過ごすか。ストレスさえも味方につけて、強くしたたかに生きることが求められている!と感じます。
取材・文/三尋木志保