【睡眠力】眠りが持つ神秘のパワー

今こそ、睡眠力。

憂鬱で不安な自粛生活も明けたものの、熟睡できない人が多くいると聞きます。ということで、睡眠の力を研究されている広島国際大学の田中秀樹先生に、いまだからこそ知っておきたい「眠り」についてうかがいました。

田中秀樹（たなか・ひでき）さん　広島国際大学健康科学部心理学科教授　山口県生まれ。広島大学大学院修了。博士。専門は睡眠学, 精神生理学。睡眠改善インストラクター、睡眠健康指導士養成に従事。地域や学校などで睡眠改善技術を指導。NHK『ためしてガッテン』『クローズアップ現代』『きょうの健康』などに出演。近著に『ストレスチェック時代の睡眠・生活リズム改善実践マニュアル』（全日本病院出版会）がある。

【睡眠力1】魅力を発揮させる！　

――どんな状況でも無為に過ごすのでなく、美肌も叶えながら健康を極めたいという女性のために、睡眠と美肌の関係について教えてください。

「睡眠には多くの働きがありますが、その一つが私たちの魅力を発揮することです。良質の睡眠によって心身の健康・美しさ・美肌などを存分に発揮することができます。

肌の美しさに深く関わる『成長ホルモン』は、寝付いてから3時間の深いノンレム睡眠中に最も多く分泌されます。また、『成長ホルモン』は身体の発達や新陳代謝に関係しているだけでなく、皮膚細胞の再生にも重要です。

私たちは一晩の眠りの中で『ノンレム睡眠』と、夢や記憶の整理、特に運動の記憶に関係する『レム睡眠』を交互に繰り返しています。

睡眠不足は、運動パフォーマンスにも重要な『レム睡眠』の時間を犠牲にすることになります。超一流女優や超一流スポーツ選手は、睡眠をとても大切にしていることからもイメージできますよね。

適正な睡眠は、心身の健康、美しさ、聡明さやしなやかさを保つためにも欠かせません」

【睡眠力2】免疫力を整え、美肌を叶える。

――リモートワークを機に、生活スタイルを変えたいという人がいます。睡眠にも影響しますか？

「蔓延している新型コロナウイルス禍の不安の中で、まずできることは、自分や周囲の人たちの健康を高め、守ること。『眠り方改革』をこの機会に行えば、健康的な生活をすることで免疫も整い、おまけに美肌までついてくるでしょう。

というのも、一般に加齢に伴いシワは深くなり、肌のハリも失われます。が、肌には歳を重ねるごとに個人差が大きく現れるようになります。例えば、40代でもシワやハリの程度が50代以上に見える人も入れば、40代で20代のような肌を維持している人もいる。これは積み重ねてきた生活スタイル、生活リズムが肌や身体に大きな影響を与えていることである、と私が行った調査でも分かっています。心がけしだいで「健康で若々しく」「美しく老いる」ことが可能ということです」