恐れず、前向きに!女性ホルモンとのつき合い方Part.3
女性の一生は「女性ホルモン」と深い関係があります。生理が始まり、閉経を迎えるまで「女性ホルモン」のバランスが身体と心に大きく影響。肌や髪の美しさを保つ働きがありますが、生理トラブルや自律神経の乱れ、子宮の病気の原因にもなります。メリットもあり、デメリットもありの「女性ホルモン」。どうつき合っていくべきなのか? 婦人科医の成城松村クリニック院長、松村圭子先生におうかがいしました。
PMSや更年期症状は、もともとの性格も影響。
女性ホルモンはバランスが大事。しかし、生理のサイクルや年齢とともにそのバランスは変化をし、さまざまな不調がわたしたちを悩ませます。
「生理前の不調『PMS(月経前症候群)』は、生理前の女性ホルモンの急激な変化が関係しています。イライラしたり、落ち込みやすくなったり、眠気やだるさ、胸のハリ、肌荒れ、むくみ、便秘など、人によっていろいろな不調があり、症状の軽さ、重さにも個人差があります」と松村圭子先生。
その個人差には、女性ホルモンのバランスの変化だけではなく「もともとの性格や環境などの要素も影響しているのでは?」と松村先生は考えます。「完璧主義者であったり、職場などで常にプレッシャーがある人は、ストレスにさらされやすく、イライラしたり、落ち込みやすい傾向があります。そして、それは更年期にもあてはまります」(松村先生)
40代後半になると女性ホルモンのひとつ「エストロゲン」の分泌が激減。倦怠感やめまい、不眠などのほか、薄毛やシワ、シミなど美容面でも老化のサインが現れます。「若さに価値観を置いて、そういう変化を受け入れられない人は、更年期の症状も重くなりがちです」(松村先生)
生理前なら“今はそういう時期”とやり過ごし、更年期も“若いときと同じようにがんばらなくていい”ぐらいのラクな気持ちで、無理をしないことも大事です。
現代女性に増えている、乳がん・子宮体がん。
昔の女性に比べ、妊娠・出産の回数が少なくなっている現代女性。「生理の回数が増え、子宮や卵巣が休む暇がありません。そのために、女性ホルモンが関係する、乳がんや子宮体がんにかかる女性が増えています」(松村先生)
リスクがあることを理解した上で、定期検診を受けるなど、自分の身体のチェックを心がけましょう。
更年期以降は、女性ホルモンに守られていた体が無防備に?
血管や骨、関節、脳などの働きを守る役割がある女性ホルモン。更年期で、その分泌が大きく減少することで、いくつかの病気のリスクが高まります。
「骨粗しょう症や高血圧、動脈硬化といった病気のほか、内臓脂肪がつきやすくなります。だからこそ、自身の身体の変化をきちんと理解することが大事。カルシムやたんぱく質をしっかり摂るなど、食生活を見直したり、運動をして筋肉をつける習慣をつけましょう」(松村先生)
たとえ病気のリスクはあっても、自分の身体や心がどう変化をするのかを知っておけば、先回りをして予防ができます。
女性ホルモンを知ることは、女性が自分の人生を考える上での助けになります。
写真提供・文/小林賢恵