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Inner Care】【COLUMN

2019.04.16

僧堂という非公開の場所をちらっと見てみましょう、その一。

みなさん、こんにちは。

大竹稽がお送りする「禅の美容室」。

桜が咲き、桜が舞い、桜が散る。日本の風情はほんとうに奥ゆかしいですよね。このコラムが、桜が舞い散るようにみなさんの心に沁みていくことを願っています。

前回から小田原東学寺の笠和尚(かさりょうけい)のお話です。

精進料理の「精進」がほんとうに意味するところは?というお話でした。今回は「僧堂」という一般公開されない場所をちょっとだけお見せしましょう。

僧堂という場所。

鎌倉では、建長寺や円覚寺。京都では、天龍寺や建仁寺。大きなお寺を観光していると、「立入禁止」の看板に遮られたことがありませんか?

立入禁止の理由は様々。その先に開祖がいらっしゃることもあります。文化財としての価値があることも。さらに稀な例ですが、お寺の人でも入れない場所であることも。そのような場合たいてい、国の省庁(例えば宮内庁)が管理しています。

さて、その横(あるいは上)に「専門道場」の案内が掲げられていることもありますね。その看板の先が、僧堂です。

僧堂は、修行僧たちが日々の生活をする場所。特に臨済宗は「己事究明(己とは何かを探求する)」という大テーマがあるため、そこに一般人(特に女性)が入ってしまうと修行になりません。

だから、「立入禁止」なんですね。

しかし、その修行には、私たちにとっても大いに参考になる智慧があります。また、私たちの好奇心をくすぐるのも事実。まずは、『雲水日記』や『心が調う朝・昼・夜の習慣』など、読まれるといいでしょう。

僧堂にはデブもヤセもいない。

さて、修行僧の身体ってどんなものでしょう?

いきなり?ですが、まぁ、続けていきましょう。

まじまじと眺め入ることはさすがに……、ですが、やはりバランスの取れた身体でいらっしゃいます。

「現代人は、栄養を摂り過ぎています。しっかり吸収し、しっかり毒素を排出することが大事なのですが、現代人は毒素を出す前に、さらに毒素を摂取してしまう。だから、身体のバランスが崩れるんです。僧堂に太って入ってきた者は必ずやせますし、細い身体はたくましくなっていきます。僧堂の生活で、自ずと活動できるようになるんですね」

たしかに、私たちが口にする多くのものは、栄養過多です。きっと、身体本来の欲求ではなく、「欲望のまま」に飲食しているからでしょうね。

ただ、そのような話は、みなさん耳にタコができるくらい聞いていることでしょう。

その辺、笠和尚はどのように答えられますか?

自ら動く。

「修行僧たちは、『なにごとも修行』と心に留めて生活します。まずは動く。自分から進んで動く。ゴミが落ちていたらゴミを拾う。玄関が乱れていたら、他人の靴でも揃えてしまう。とにかく自ら動くようにすると、『ちょうどいい』身体になってきますよ」

「だれかがやってくれるだろう」「自分のやることじゃない」という心は、停滞してしまっています。ここは、前回の「精進」ともつながりますね。

でも、立場が上がり、後輩を指導したり、管長(本山の☆)のお付きの役をするようになると、やはり太り始めるそうです。これは運動部に属していた高校生が、引退して受験勉強を始めると太ってしまうのと、同じ理屈ですね。

もし、みなさんがお会いする和尚がちょっと太めなら、そのようなきっかけがあったのかもしれません……。

まずは、日に一回、「自ら動く」習慣を作ってみてはどうでしょう?

文・写真/大竹稽(思想家、教育家)