みなさん、こんにちは。
大竹稽がお送りする「禅の美容室」。
さまざまな花の香りと色を楽しめる時期になりました。香りを運んできてくれる風も、まさに涼やか清らか、といったところでしょうか。
でももしかしたら……あなたは花粉症の時期に眉をひそめて（涙をためて）いらっしゃるかも（かく言う私も、すでにひどい花粉症です）？
しかし、それもまた季節の巡り合わせ。穏やかな気候を楽しむとしましょうか。
心のストレッチ
「忙しい」の反対は、「ゆったり」。
「忙しい」の反対は、「ゆっくり」。
「忙しい」の反対は、「時間を感じる」。
さてみなさんは、ゆったりゆっくり、時間を感じることができていますか？
「お寺に行くのが好き！」と言われるあなた、もしかしたらこのような場を求めているのかもしれませんね。
お寺では五感が解き放たれます。ゆったりした静かな境内で、忙しい時間・窮屈な空間では閉じていた五感が開かれるんですね。
その一つが、嗅覚。都会ではあまり心地よい匂い（カレーやパンの匂いのような、お店の前限定のものは除きましょう）がしませんが、お寺は良い香りに包まれています。
花の香りはやはり、良いものですね。拙宅には沈丁花があり、その匂いは心を慰撫してくれます。
そして、お寺ならではといえば、お線香の匂いです。
あなたのお宅に、お線香はありますか？ お線香は仏壇にお供えするだけのものではありません。
「線香のゆらぎ、ろうそくのゆらぎ。そのようなゆらぎに心を合わせてみましょう。心の波長が、線香やろうそくのゆらぎに合い始めると、心は落ち着いてきます。就寝前にこのようなゆったりした時間を持ってみることをお勧めします」
忙しいあなたには、時間がビッシリ押し寄せています。いっぽう、心が落ち着いている時、どのような時間の流れを感じているでしょうか？
それが、たゆたう時。
時間のたゆたいを感じられる時、私たちの心はリラックスしています。
「そのような時間を持つことが、心のストレッチになるんですね」
と、永井和尚。
「でも、注意があります」
刺激的なものは不適切。
大量生産される安いものは選ばない。折につけて必要かもしれませんが、あなたに大切な時間にはふさわしくありません。
「化学物質を使ったお線香は、確かに一度は『イイ匂い』と感じるかもしれませんが、それは五感が開いているのではなく、五感が刺激されているだけです。自然の匂いがするもの、自然由来のものが材料になっているものを積極的に選んでいきましょう。刺激は中毒になります。それでは心のストレッチにはなりません」
「自然のもの・良いものを選ぶ！」この意識が現代には不可欠です。「安い・便利」が溢れているこの時代に、「敢えて！」「頑固なまでに！」良いものを選ぶ。もちろん良いものはそれなりに「高価」「ぜいたく」でしょうが、そのようなものにこそ私たちの心のコリをほぐし、五感を呼び覚ます力があるのでしょう。
「自然のものにはエネルギーが備わっています。人工物は心身に負荷をかけてしまいます」
さて……「.&cosme」に訪れるみなさん、まずはみなさんから「良いもの」を「敢えて」選ぶ流れを、作っていきませんか？
文・写真／大竹稽（思想家、教育家）