みなさん、こんにちは。
大竹稽がお送りする「禅の美容室」。
さまざまな花の香りと色を楽しめる時期になりました。香りを運んできてくれる風も、まさに涼やか清らか、といったところでしょうか。
気持ちがゆったりできる時期、このコラムでさらにゆったりしていただけますように……
さて、前回から調布市源正寺の住職、永井宗明和尚にお話しをうかがっております。
だれかに見られている! そんな仕事といえば……?
「だれかに見られている!」、こんなフレーズだけですと少々サスペンスのニオイがしてきてしまいます。が、もちろん、美容の話。
ところで、「常にだれかに見られている」、それはどんな仕事でしょう?
まず、思い浮かぶのが、政治家。さらに芸能人。日本全国ではなく、地域を限定してみましょう。学校の先生も「常にだれかに見られる」仕事かもしれません。
そのような仕事の一つに、僧侶があります。でも一つ条件が……衣を着ている時に限りますね。僧侶といっても、オフの時間があります。人々と接する時はみなさんイメージ通りの正装をしますが、オフの時間はみなさんそれぞれ、思い思いに好みの格好をされます。ときには、みなさんが思いもよらない服装の和尚もいらっしゃいます。 オンとオフの中間にあるのが、作務衣というものですね(写真の永井和尚が、作務衣を着ていらっしゃいます)。
さて、「常にだれかに見られている!」という意識、どのように美容につながるでしょうか?
衣装でポテンシャルを躍動させる。
「わたしたちが衣を着た時は、だれに見られてもいいという覚悟でいます。よれよれの格好で人前に立ったとしたら、わたしのエネルギーは遮断されてしまうでしょう。心もよれよれになってしまいます。高価な衣装ではなく、だれに見られてもいいという気持ち、それによってわたしたちのポテンシャルが発揮されることは間違いありません。みなさんも、フォーマルな場でそのような体験をされたことありませんか?」
鎌倉の建長寺で企業坐禅会を指導されている永井和尚、衣装の効果というものを実感されているようですね。
そりゃそうですよね。勝負服を着た時と、普段着を着た時の自分の気持ちの高揚感に大きな違いが出ること、私も実感しています。和尚達の美容と若さの秘訣は、「見られる」という意識にもあるんですね。
「『見られるという意識』を日々、数時間でも持つことで、心のメリハリができてきます。それは、若さを維持することにもなります。若さとは、日々の意識であり、日々の姿勢でもあるんです」
今回は、緊張感を美しさに活かすお話しでした。次回はその真逆、心のストレッチについてお伝えします。
文・写真/大竹稽(思想家、教育家)