みなさん、こんにちは。
大竹稽がお送りする「禅の美容室」。
とにかく寒い。マジ寒い。冷たい風が手足にジンジン刺さってきます。いやはや、二月になりましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか?
とりあえず、冷たい風はよけるにしかず。どこか温かいところで、コーヒーブレイクをしながらこのコラムを読んでくださると嬉しいです。
前回の細川和尚のお話は、「うんち」から始まりました。きれいな言い方をすれば、「アウトプット」というところですね。今回は、最近はやりの「今ここ」について……。
「今ここ」って?
「即今目前」、禅の言葉ですね。これを簡単な表現にしたのが「今ここ」。「今ここ」で検索してみてください。とてつもない数でヒットします。禅の「即今目前」が注目されている証ですね。「過去から解放され、未来への執着を手放すと幸せになれる」、簡単にこんなところでしょうか。
ですが、一つ注意が。
「今ここ」を逃げ口上に使ってはいけませんよね。「千里の道も一歩から」「ローマは一日にして成らず」、古人が見出した真理は、いつでもどこでも通用するものなのです。
「『今ここ』は、今だけを大切にするということではありません。過去を積み重ねた上に『今』があり、『今』は未来を孕んでいるということなんですよ」
と、細川和尚は助言してくれました。
「今さえよければいい!」という投げやりな精神で、例えば地球環境はどうなるのでしょう? しかも、「今さえ」という気持ちは、しばしば「自分さえ」にすり変わります。それでは、感謝の全くない迷惑ヤローになってしまいますよね。
そうそう、「美」も同じです。美しさだって、一朝一夕に手に入れられるものだったら、これほどまでに「美容」が注目されないでしょう。百円のもの、一万円もの、プライスレスなもの、あなたはどれに一番価値を置きますか?
美はプライスレス
今美しい人は、それまでの日々のケアの積み重ねがあるから美しいんです。その積み重ねが嘘になるはずありません。だからこそ、今美しい人は未来も美しいんです。
日々の積み重ねで今がある。そして今の行為が未来につながる。禅語の「即今目前」は日々の積み重ねがあっての「今ここ」を教えてくれます。だからこそ、「今ここ」はプライスレスなんですね。「美」もまた、プライスレスなんです。
迷惑を掛け合っている。
「今」と「自分」にだけ没頭してしまう人が陥りがちな言葉があります。
「迷惑をかけないように生きよう」
これも一つのエゴなんですよね。
「生きているということは、迷惑をかけているということなんですよ。迷惑はかけ合うものなんです。迷惑をかけないようにしていると、人から受ける迷惑に過剰に反応してしまいます。人からかけられる迷惑もできるだけ愛していく、私はこう考えています」
と、細川和尚。
私たちが資源を使うことにしても、地球からしたら迷惑かも?家を建てることだって、誰かにとって迷惑になっているかもしれません。だから、お互い様なんですよね。そして、迷惑をかけ合いながら、ちゃんとした未来になっていくように気をつける。
「迷惑をかけないように」ではなく、「迷惑をかけ合おう」で生きていきましょう。
さて、「即今目前」を正しく生きる人たちに共通することがあります。
それこそ、「心の美しさ」につながるんですね。
自分のルールを大切にする。外のルールではなく自分のルールを大切にする。そして、自分のルールこそ美的感覚なんです。
この辺りは次回に。