COSME DE NET

FOLLOW US

  • .&cosme
  • .&cosme
  • .&cosme

COLUMN

2020.03.09

<きれいの舞台裏>ショーの最中にモデルが失神! 抱きかかえながらばれないように舞台裏にはけて…。ヘア&メイクアップアーティスト 長井かおりさん(前編)

美のプロだからこそ知る、きれいの裏側をのぞく好評連載。今回ご登場いただくのは大人気ヘア&メイクアップアーティストの長井かおりさん。

長井さんといえば、全国各地で開催される一般女性を対象としたメイクアップセミナーが大人気。わかりやすいメイクメソッドと実践しやすいテクニックで、誰でも自分史上No.1の“キレイ”を実現できると大好評で、毎日を頑張る女性たちのまさに救世主的存在です。

女性たちに寄り添いつつも、一歩前を行く姉御肌な長井さんに、誰でも簡単に好印象美人になれるコツをご指南いただくとともに、ふだんは聞けないメイク現場での舞台裏も教えてもらいました!

長井かおり(ヘア&メイクアップアーティスト)

雑誌を中心に多くのビューティ企画を手がけ、VOCE他で連載も担当。多くの一般女性へ、メイクレッスンをしてきた経験から、わかりやすく理論的なメイクテクニックに定評があり、熱狂的な支持を集めている。全国で開催する自主主催のメイクレッスンは開始10分で満員となり、「予約が取れないメイクレッスン」としても知られ、自分史上一番キレイになれるメイクレッスンとも言われている。最新の著書「世界一わかりやすいメイクの教科書」(講談社) が大好評発売中。

美容部員から、メイクアップアーティストに転身。

――なぜ、メイクアップの道へ?

「元々は、とある化粧品メーカーで働いていて、販売員をしていました。そこで多くのお客様に美容の魅力をお伝えしているうちに、ブランドの垣根を超えて、もっと自由にメイクアップに触れたいという気持ちがふつふつ湧いてきて。

メイクの技術をより追求しながら、色々な方にメイクを通じて触れ合いたいなと思い、メイクアップアーティストに転身しました」

“長井さんのメイクで助かった!”。その言葉がうれしいんです。

――長井さんといえば好感度メイクの名手で、一般女性にもそのメソッドは大人気です。そこにはどんなこだわりが?

「メイクアップアーティストという肩書きですが、私の場合、“アーティスト”として自分が作りたいものを発信するというよりは、みなさんが求めていること、悩んでいることをキャッチして、それを自分の技術に落とし込んで、発表するようにしています。

やはり美容部員時代の経験があるからですかね。みなさんから“長井さんのメイクで助かった〜”と言われることに、すごく喜びを感じます。

とは言え、いつも寄り添ってばかりでは退屈されちゃうかもしれないので、少しの驚きやドキドキを感じるメイクもプレゼントしていきたい。

みなさんと一緒に年齢を重ね、互いに色々な変化に向き合うなかで、そのステージごとに“ちょうどいいメイク”をお伝えしていけたらと思っています」

メイクショーの最中にモデルが失神! 抱きかかえながら舞台裏にはけた。

――撮影現場やメイクセミナー中に、ピンチだったことは?

「以前ホテルで開催した、すごく大きなメイクショーがありました。そのショーの最中に、モデルさんが突然倒れてしまって! たくさんの観客の方の前でモデルさんにメイクのデモンストレーションを行っていた、まさにその真っ最中。

ちょっと体調がすぐれないだろうなと気付いていたので、お客様には気づかれないように“大丈夫?”なんて声をかけたりしていたんですが、次第に顔が青ざめ、汗もにじんきて。そのままメイクをしている私のほうにパタン!

倒れてきた彼女をキャッチした私は、抱きかかえながら裏へ一旦フェードアウト。会場は一時騒然としていましたが、再び私だけ舞台に戻り、自分の顔を使ってメイクショーを続行(笑)。本当に焦りましたね。あの経験以降、モデルさんの体調には今まで以上により気を遣うようになりました」

メイク前には、顔よりも、頭皮や身体のコリをほぐしています。

――様々なメイク現場で欠かせない、必須のスキンケア法は?

「オイルマッサージはしますが、昔ほどではないですね。なぜなら、モデルさんそれぞれ、自分で色々な美容法を実践されていて、それにより作られた骨格でもあるので、マッサージで邪魔したくないなと思っていて。

肌表面の摩擦も避けたいですし、それよりは頭皮や身体のコリをほぐすようにしています。顔に関しては軽くマッサージしたら、美顔器を渡して“よかったら使ってね”と。やみくもに顔をグリグリやるよりは、頭皮や身体にアプローチして、顔は最新機器のヤーマン WAVY miniでセルフスタイルが最近のスタンダードです」

現場でも大活躍の美顔器はヤーマンの「WAVY mini」。特許技術のトルネードローラーによるエステ級のハンドテクで気になる部分を揉み流しながら、独自波形のLIFT WAVEで筋肉を刺激するもの。最新美容ギアのチェックも欠かさない。
現場でも大活躍の美顔器はヤーマンの「WAVY mini」。特許技術のトルネードローラーによるエステ級のハンドテクで気になる部分を揉み流しながら、独自波形のLIFT WAVEで筋肉を刺激するもの。最新美容ギアのチェックも欠かさない。

穏やかな血色を作り出す、“仕込みチーク”が使えます。

――撮影現場でマストなメイクアイテムは?

「いろいろあるんですが、特にこの3品。

まずは、ディオールの9色アイパレット「ディオール バックステージ アイ パレット」。これで色を足してメイクを作っていくというよりは、質感や陰影を操作するものとして使っています。コントワリングや何か色を乗せるまえの“下敷き使い”。これで眉を描いたり、アイラインを引いてしまうこともあるくらい。ハイライトにも使えるし、かなりの頻度でお世話になっています。

そしてプチプラで言えば、マスカラ下地キャンメイク クイックラッシュカーラー」。これは本当に絶対使う。ビューラーで作ったカール感がそのままキープできるんです。全然下がってこないので、どんな人にも必ず使っています。

あとは、私がプロデュースしたアイテムになるのですが、「N by ONLY MINERALS ミネラルソリッドチーク コンプリート02 」。一見すると見た目はすごい色で驚くでしょ? でも、血の色を目指して作っているので、本来人間の中にある血色の表現が可能なんです。驚くほどに自然な血色感をメイクしてくれるので、仕込みでは必ず使っています。

今って、チークを目立たせるというよりは、アイカラーやリップメイクを楽しむ時代。そういう時に、穏やかな血色を作り出す“仕込みチーク”がとても役に立つんです。ひとつ持っていると便利ですよ」

(左上から時計回りに)「ディオール バックステージ アイ パレット」はこれひとつでアイシャドウ、ハイライト、ライナーなど何役の働きも。キャンメイクのマスカラ下地はカール感が長時間続く優れもの。チークはミネラルコスメブランド「オンリーミネラル」の長井さんがプロデュースした新ライン「N by ONLY MINERALS」のプラムカラー。見た目より軽やかに発色し、肌色を問わずおしゃれになじむ。
(左上から時計回りに)「ディオール バックステージ アイ パレット」はこれひとつでアイシャドウ、ハイライト、ライナーなど何役の働きも。キャンメイクのマスカラ下地はカール感が長時間続く優れもの。チークはミネラルコスメブランド「オンリーミネラル」の長井さんがプロデュースした新ライン「N by ONLY MINERALS」のプラムカラー。見た目より軽やかに発色し、肌色を問わずおしゃれになじむ。

どんな敏感肌にも対応してくれる、レスキューアイテムがこれ。

――メイク現場でのピンチを救ってくれる、お助けアイテムは?

「どこにも必ず持って行くのが、「ラ ロッシュ ポゼのトレリアンシリーズ」の化粧水、乳液、クレンジング。

毎回メイクをする前に、モデルさんに敏感肌かどうか聞くのですが、敏感肌と答えた方には全部これ。100%と言っていいくらい、合わない人がいないんです。それでいて潤いもしっかり与えてくれる安心且つパワーがあるアイテムですね。

メインのスキンケアアイテムがあって、これは緊急対応時のヘルプ的位置付けだから、ミニサイズで持ち歩いています。

もうひとつが、プチプラなんですが「スウィーツスウィーツ クイックドライメーカー」。ネイルを塗った後にこれを1滴、爪に垂らすだけで一瞬で乾くんです。ぴちょんと垂らすから、私は“ぴちょん”と呼んでいます(笑)。

ビューティの撮影だと、メイクごとにネイルを変えることが多いんですが、これがあればすぐに乾くから重宝していて。モデルさんに乾くのを待ってもらうストレスもないですし、時間に追われる忙しい女性にもおすすめですよ」

敏感肌のモデルには必ず使用する、現場でのお助けスキンケアはラ ロッシュ ポゼの「トレリアンシリーズ」。長井さんが“ぴちょん”と命名したスウィーツスウィーツ「クイックドライメーカー」は、ネイルを瞬時に乾かしてしまう魔法の液体。
敏感肌のモデルには必ず使用する、現場でのお助けスキンケアはラ ロッシュ ポゼの「トレリアンシリーズ」。長井さんが“ぴちょん”と命名したスウィーツスウィーツ「クイックドライメーカー」は、ネイルを瞬時に乾かしてしまう魔法の液体。

インタビュー中も次々と飛び出す長井ワードの数々。そのひとつひとつがわかりやすく、頭にすっと入ってくるから不思議です。親しみやすいキャラクターでありながらとっても頼もしく、多くの女性たちから支持されるのも納得。

後編では、長井さんの偏愛コスメやプライベートにも迫ります。お楽しみに!

 

撮影/桒原 章太郎 取材・文/井上幸子