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BODY CARE】【COLUMN

2020.07.09

ウィズコロナの今、必要なのは平成に培われた清潔意識と感染予防グッズ!

感染予防の必需品、石鹸とマスクは明治時代から使われていました。

緊急事態宣言が解除されてひと月以上経ちましたが、新型コロナの新規感染は、収束する気配を見せていません。東京を中心に再び感染者が増えている中、しばらくは石鹸での手洗いやマスクの着用を心がけ、自己防衛するしかなさそうです。

感染予防の必需品ともいえる石鹸とマスクは、新型コロナの影響で売り上げがアップした雑貨の代表格。今はないと困る商品ですが、どちらも日本で一般の人々が使うようになったのは、明治時代になってからでした。

江戸時代の石鹸は薬の一種。庶民は”ぬか袋”で顔や身体を洗っていたのです。

歴史を紐解くと、日本に石鹸が伝わったのは16世紀。ポルトガルから伝来したと言われ、”しゃぼん”とも呼ばれていました。

江戸幕府を開いた徳川家康の遺品リストには、伽羅(きゃら)や白檀(びゃくだん)などの香木と共に、しゃぼんが記載されています。いい香りがするので、香りの項目に分類されていたんですね。とはいえ、江戸時代の石鹸は体を洗う洗浄料ではなく、用途は下剤。薬として珍重されていたのでした。

江戸時代の人々が、顔や体を洗うのに愛用したのは、米ぬかを木綿の袋に入れた”ぬか袋”。米ぬかには油分やビタミンE、ミネラルなどが含まれていて、ぬか袋で洗えば汚れが落ちるだけでなく、洗い上りの肌もしっとりするという優れものだったのです。

赤いぬか袋で体を洗う女性「江戸名所百人美女 御殿山(部分)」豊国画 安政5年(1854) 国立国会図書館所蔵
赤いぬか袋で体を洗う女性「江戸名所百人美女 御殿山(部分)」豊国画 安政5年(1854) 国立国会図書館所蔵

明治時代に広まった公衆衛生の思想が、石鹸やマスクを普及。

そうした伝統的な洗い方が変化したのは、明治時代になってから。

明治政府は、コレラや結核などの伝染病対策として公衆衛生に力を入れました。感染予防のため、病院や軍隊で石鹸を使うことが奨励され、徐々に一般の人々も、石鹸で体を洗うようになったのです。

石鹸が日本で本格的に生産され始めたのは明治6年(1873。品質が向上するにつれ、洗顔にも使われるようになりました。

そして同じく明治時代にはマスクも登場します。初期のマスクは、布に金属のフィルター付き。”呼吸器”と呼ばれていて、日本では、大正時代に大流行したスペイン風邪をきっかけに、感染予防のマストアイテムになったのでした。

明治12年(1879)に発売されたマスクの広告『文明開化 2 広告篇』より。大正14年(1925)発行 国立国会図書館所蔵
明治12年(1879)に発売されたマスクの広告『文明開化 2 広告篇』より。大正14年(1925)発行 国立国会図書館所蔵

石鹸とマスクに加え、平成に普及した除菌グッズも感染予防の強い味方に!

時は移り、時代は”衛生”から”清潔”へ! 朝シャンがブームになった1980年代後半から’90年代にかけて、世の中の風潮は一気に清潔志向へとシフトしました。

‘90年代には、除菌シートや除菌スプレー、デオドラント商品といった清潔関連グッズが大ヒットします。一方で、電車のつり革や手すりに触るのを嫌い、除菌グッズを持ち歩くなど清潔にこだわる若者が、”清潔症候群”と言われて話題になったのも同じ頃でした。

結果的には、このブームによって、日本人の清潔意識が底上げされたのは間違いありません。皮肉なもので、当時、潔癖すぎると問題視された若者の清潔意識は、最近の”新しい生活様式”にはマッチしています。

自粛から経済優先へと舵が切られた今、大切なのは自衛力。平成に培われた清潔意識で石鹸、マスク、除菌グッズを使いこなし、新型コロナの感染から身を守っていきましょう。

 

写真提供・文/山村博美