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MAKEUP】【COLUMN

2020.07.28

時代を超えて京女性の肌を美しく潤わせてきた米ぬかの力(前編)

自粛期間中にハマった発酵食品作りで、米ぬかの美肌効果に開眼!

(左)京小町ぬか200g ¥800 (右)京都宇治産の抹茶をブレンドした、京小町ぬか 宇治抹茶入り 200g ¥1,000・ともに税別
(左)京小町ぬか200g ¥800 (右)京都宇治産の抹茶をブレンドした、京小町ぬか 宇治抹茶入り 200g ¥1,000・ともに税別

今年ハマっているものの一つに“発酵食品づくり”がある。コロナ禍、「自宅で簡単にできる発酵食品づくり」という企画をある媒体で担当したのがきっかけなのだが、それ以来、ヨーグルトや甘酒を作ったり、ぬか漬けに挑戦したり、あるりんご由来の酵母菌をいただいたのでスパークリングりんごジュースを作ったりして毎日の生活を楽しんでいる。

そんな中でぬか漬けを作っているときにあることに気が付いた。冷蔵庫で発酵させているので毎日かき混ぜているわけではないのだが、ぬか床をいじる度に「あれ! なんだか手がすべすべツルツルしている!!」と感じるようになったのだ。ぬかはすごく肌にいいと聞いたことはあったがこんな風になるんだと改めて実感した。

そんな中、いろいろ調べていくうちに出合ったのが、昔から京都・祗園の芸妓さんなどから愛され続けている「京小町ぬか」。そこで今回の美の工場見学は、京女性の肌を美しく磨き続けてきた化粧ぬか「京小町ぬか」を製造販売している懐古庵さんを訪ねた。

温かく出迎えてくれた懐古庵店主の鷲尾澄子さん。肌が白くすべすべしていたのが印象的だった。
温かく出迎えてくれた懐古庵店主の鷲尾澄子さん。肌が白くすべすべしていたのが印象的だった。

「急に蒸し蒸し暑くなってきましたね」と笑顔で迎えてくれたのは、懐古庵店主の鷲尾澄子さん。鷲尾家は慶応時代(約150年以上も前)から続く老舗のお米屋さん。その後、昭和23年に新洞食糧企業組合を設立し、今は米穀小売、食糧品販売をする傍ら、懐古庵として古民家ゲストハウスなどの運営も行っている。玄米を精米するときにでる“白ぬか”がすごく肌にいいと、70年ほど前から祗園の芸妓さんたちに分けていたのが「京小町ぬか」の始まりだそうだ。

丁寧な手仕事の変化が、時代を超えて長く愛される理由。

よく見る茶色のぬかとは異なり、キメが細かく白い“白ぬか”。ほんのりと甘いぬかのいい香りがした。
よく見る茶色のぬかとは異なり、キメが細かく白い“白ぬか”。ほんのりと甘いぬかのいい香りがした。

“白ぬか”とは初めて聞く言葉だが、これはいったいどういったものなのだろうか。

「京小町ぬか」をよくよく見ると確かに白くキメ細かな粉だ。ぬか床やタケノコのアクとりなどでよく目にする茶色のぬかとは明らかに異なる代物だ。

「今は玄米を1回だけ精米機に通すだけで白米になる一発式が一般的なんです。でも昔は2回、3回と徐々に精米を繰り返す循環式精米機を使っていたんです。この4回目の精米の時に取れるのが“白ぬか”。1回目2回目に取れるぬかは、茶色く胚芽もたくさん入っている。これはすごく栄養化も高いし脂肪分も多い。でも酸化しやすいという弱点があるんです。だから茶色のぬかは、ぬか漬けや床磨き用などに。4回目の白ぬかのみを化粧ぬかとして使っています。大量の玄米から少ししか取れないすごく貴重なものなんですよ」と鷲尾さん。この白ぬかには、植物性脂肪、ビタミンB群、ビタミンE、カルシウム、鉄分、たんぱく質などが含まれ、これらが肌に潤いと養分を与え、洗い上がりの肌が乾燥して突っ張る感じを防ぎ、キメを整え潤いのあるすべすべ肌に導くのだ。

網目の細かいこし器で、なんども丁寧に白ぬかを漉してゴミや胚芽を取り除き、肌に優しい化粧ぬかにする。何キロも繰り返すと、見た目以上に重労働。
網目の細かいこし器で、なんども丁寧に白ぬかを漉してゴミや胚芽を取り除き、肌に優しい化粧ぬかにする。何キロも繰り返すと、見た目以上に重労働。

肌への優しさを求めて。

「白ぬかにはわずかに胚芽も残っているんです。この胚芽が毛穴に詰まった汚れを掻き出すスクラブ効果があると言われていたのですが、時代の変化と共に肌が弱い方が増え、肌が赤くなるという声も聞こえ始めたんです。そこでさらに肌に優しい化粧ぬかにするために、網目の細かいこし器で、白ぬかをさらに2度3度と漉し、肌を刺激する胚芽などをなるべく取り除いた化粧ぬかが今の京小町ぬか」なんです。

ただ、栄養価がたっぷり詰まった胚芽。全部取り除くのはもったいないと、何度も網目の大きさを変え、肌に優しくなおかつ有効成分も詰まったものを試行錯誤したそうだ。昔から使われ続けてきたものではあるが、時代時代の使う方の声を聞き取り、さらに商品を変化させる。だからこそ長年愛されつづけるのだろう。

適量を手に取り、ぬるま湯でのばしてクリーム状に。顔に塗りながら軽くマッサージするとお米のいい香りに包まれる。すこし胚芽も残り、ざらざらした感触でスクラブ効果も。洗い上がりはすごくさっぱりとして気持ちよくツルツルに。乾くと肌がすべすべしてくる。
適量を手に取り、ぬるま湯でのばしてクリーム状に。顔に塗りながら軽くマッサージするとお米のいい香りに包まれる。すこし胚芽も残り、ざらざらした感触でスクラブ効果も。洗い上がりはすごくさっぱりとして気持ちよくツルツルに。乾くと肌がすべすべしてくる。

「京女の長風呂」その秘密がここに。

鷲尾さんの肌を見るとすごく白くキメが整っていた。もう70歳を超えるというが、その年齢を感じさせない肌だ。「贅沢にたまにお風呂に入れるんです。するとすごく温まって肌もツルツルになります」。そのほか、ガーゼに化粧ぬかを包んでお湯で濡らし、軽く体をマッサージしたり、手のひらに少し取り出してぬるま湯でクリーム状にしたものを直接顔に塗り込んでマッサージしたり、洗顔フォームに混ぜて使うのもいいそう。「みなさん思い思いの方法でこのぬかを使ってくださっています。ヨーグルトとハチミツにこのぬかを混ぜてパックにしている方もいますよ」と。

(左)京小町ぬか200g ¥800 (右)京都宇治産の抹茶をブレンドした、京小町ぬか 宇治抹茶入り 200g ¥1,000・ともに税別
(左)京小町ぬか200g ¥800 (右)京都宇治産の抹茶をブレンドした、京小町ぬか 宇治抹茶入り 200g ¥1,000・ともに税別

石鹸がまだなかった時代、京都の女性たちはお米のとき汁で顔を洗っていた。それからぬかを使うようになり、美しい肌をより美しくするために丹念にお風呂で肌を磨き上げるように……。そこから生まれたのが「京女の長風呂」という言葉だそうだ。昔から京都の女性の美しさを担ってきた米ぬかのパワーをぜひ試してほしい。

明日は、より京小町ぬかを気軽に使えるように作られた洗顔石鹸「京のこまち」をご紹介します。お楽しみに。

懐古庵 住所:京都市左京区新間之町通仁王門上る頭町366番地 電話:075-751-1005 http://www.kaikoan.co.jp/store/
懐古庵 住所:京都市左京区新間之町通仁王門上る頭町366番地 電話:075-751-1005 http://www.kaikoan.co.jp/store/

撮影・取材・文/楠井祐介