こんにちは、美容ジャーナリストの山崎多賀子です。自分が乳がんになって感じたこと、気づいたことで、みなさんのお役に少しでも立てれば…そんな思いでスタートした連載の第五回目、どうぞ!
じつは官能的な厚い唇にあこがれています。
女の官能美を演出するパーツという点において、唇を超えるものはない。女性のプルンと肉厚な唇は、それだけでなまめかしい。おちょぼ口の私はずっと厚い唇にあこがれていて、女優の石原さとみさんのようなぽってりした唇に出会えば目がくぎ付け。最近はまっている(笑)のは、女子バレーの長岡望悠さんの唇。へなちょこバレーボーラーの私はテレビの前でダイナミックなプレーに惜しみない拍手を送りつつ、気がつけば見ているのは唇(笑)。
唇に官能美を感じるのはおそらく、顔の中で唯一、皮膚の内側のひそやかな粘膜の赤を感じるパーツだからだろう。繊細かつ透けて見える生身の部分に、本能的なエネルギーを感じる気がする。だから、きれいな色の口紅をつけても、唇がカサカサしているだけで、「枯れた女」に見える。逆に、唇にみずみずしいつやがあると、内面も潤った健康的な女性に見える。唇が荒れていると女性として(あるいは男性として)の現役感が損なわれてしまう、と私は思っているので、人前に出るときに唇がプルンと見えるリップグロスを欠かさない。
しかし唇も年齢とともに衰える。柔らかくてふっくらして透明感があった唇もやがて縮む。とくに顕著なのは、鼻の下がのびることだ。伸びた皮膚に押される形で上唇が薄くなる。赤ちゃんの時は近かった鼻と唇の間がどんどん開く。これも年相応でいいし、若作りが良いとは全く思っていないのだけれど、なにせ厚い唇にあこがれ続けてきただけに私は残念。ヒアルロン酸注入やアートメイクは考えてないけど……。
リップペンシル「芯一個分」の錯覚効果。
となると自分にできることは、唇の輪郭を大きめに取ることだ。以前ヘアメイクさんに教えてもらった「上唇を大きく見せる」方法。それは、上唇のふたつの山をリップペンシルの「芯一個分の幅」だけ上にとる技。そこから口角までリップペンシルで自然につなげるだけ。下手に山から口角までのラインをオーバーリップにすると不自然感がでてくるが、山だけならすごく自然。「芯一個分だけは許されるの」と言ったヘアメイクさんの笑顔は忘れられない。せいぜい2㎜の若作り。でもその錯覚効果で印象はけっこう違うのです。誰も気づかない私だけのこだわり。
落ちないルージュで夜まで唇を整形。
ただ、肌の部分にリップペンシルで嘘の唇を描いても、時間とともに薄くなるのが難点だった。ところが、ついに出会いました! メイベリンの落ちないリキッドルージュのSUPER STAY マットインク リキッドルージュ 15番と50番(全7色 各¥1,500・税別/メイベリン ニューヨーク) 。これが本当にマジで落ちない。発色もカバー力も半端なく、仕上がりはマット。普段愛用するのは本来の唇をほうふつとさせるローズベージュ15番。これでまず山と谷を自然な形に描いて口角へつなげる。とにかく発色がいいので少量で塗る。輪郭が描けたら一度ティッシュで軽く押さえて唇の内側になじませれば唇の整形完了。あとはグロスを重ねても夜まで落ちない。
先日のパーティには深いルビーレッドの50番を使ったが、グラスやフォークに色移りせず、化粧直しも不要だった。染色系の落ちないリップと違い、クレンジングをすれば素の唇に戻るのもいい。講演会など人前で話す機会もいただくときは、唇の輪郭をくっきりさせると、きちんと見えるという錯覚効果もある。
色落ちしない口紅を求めている方、そして人知れず唇の形を変えたい方、おすすめです。
文・写真/山崎多賀子(美容ジャーナリスト)