美容パワーも絶大の幸せホルモン「オキシトシン」

最近話題の幸せホルモンのオキシトシン。心や体のストレスをやわらげ、幸せな気持ちにしてくれるほか、美肌やダイエットなど美容面にも嬉しい効果があるそう。それは見逃せない！ということで、オキシトシンの研究で知られる桜美林大学の山口創先生にお話を聞きました。

――オキシトシンが美肌にいいと聞いたのですが？

「はい、その通りです。オキシトシンには皮膚の幹細胞を活性化する働きがあるんですね。肌表面のキメを整え、肌の若返りをサポートしてくれるほか、皮膚の中のセラミドなどの保湿成分の分泌を促す効果も。乾燥に負けない肌を作ってくれます。

さらに、オキシトシンにはもうひとつの幸せホルモンである“セロトニン”の分泌を促す効果もあります。セロトニンが出てくるとオキシトシンとの相乗効果で、より心のリラックス度が増しますし、セロトニンのおかげでいい眠りにも作用します。ぐっすりと質のよい睡眠がとれることは成長ホルモンを分泌し、肌の修復効果を促しますので、美肌にもつながっていきます」

――では、オキシトシンの量を増やせば、肌悩みもケアできますか？

「そうですね、幹細胞に働きかけターンオーバーを促すので肌が本来もつキレイになる力を高めてくれます。肌の悩み対策にも十分効果が期待できると思いますよ。

それにオキシトシンをたくさん増やすことができれば、ストレスを感じにくく幸福感に包まれます。心と肌はつながっていますから、心が満たされることで肌にもいい影響を与えてくれます」

――肌に効かせるオキシトシンの出し方はありますか？

「前回https://andcosme.net/inner-care/post-9593/（内）オキシトシンの分泌方法をお話ししましたが、その中でもタッチケアが効果的ですね。自分の肌を手のひらで触れる感覚を大事にして、スキンケアをしてあげましょう。

クリームやオイルなど、自分が心地いいと感じるものを肌にのせてじっくりとハンドプレスを。腕や足などをゆっくりすべらせるようにして触れてあげるのもいいですね。

この時の呼吸はゆっくり吐くことを意識します。おふろで湯船に浸かって、温かいお湯をかけてあげるのでもいいんです。大事なのは“自分が心地いい”と感じる香りやテクスチャーのものを選ぶこと。そうすれば、ただ触れるよりもたくさんのオキシトシンを放出することができます」

――山口先生、ダイエットにも効くと聞いてすご〜く興味深いのですが。

「はい、オキシトシンが体内を巡ると、さまざまな受容体に取り込まれて体にいい作用をもたらすわけですが、その受容体のひとつに脂肪組織があります。オキシトシンをネズミに投与した実験では皮下脂肪、内臓脂肪ともに減らす効果が認められています。

またオキシトシンには満腹中枢を刺激することもわかっているので暴飲暴食を防ぐ効果もあります。つい早食いになったり、かけこんで食事をしてしまう人はオキシトシンの分泌を意識するといいですね。前回お話ししたように、オンラインでもいいので親しい人と一緒に食事をしたり、ペットと触れたり可愛らしい動物の写真を眺めて食事をすることで、オキシトシンが出て食べすきが防げますよ」

美肌とダイエットに効く、まさに女性のためのホルモン・オキシトシン。ステイホームでうっかり増えた体重をもとに戻すべく、私も早速今日からオキシトシンを味方につけて生活していきたいと思います！

写真提供・取材・文／杉浦凛子