俳優業とともに、“齊藤工”名義でフィルムメーカーとしても活躍する“斎藤工”さん。お笑い芸人の永野さんの原案・脚本をもとに、齊藤工さんが企画・プロデュース・主演の3役を務めた長編映画『MANRIKI』が2019年11月29日に公開予定です。
<カッコイイ男を深堀り>の前編に続く中編では、劇中にも登場した美を追求する女性について、そして自身愛用のコスメのお話も伺います。
今年の誕生日、IKKOさんの入浴剤を湯舟に入れてサバイバルゲームしてましたよ。
取材を進めるなか、斎藤工さんのプライベートは、想像の斜め上をはるかにいくものでした。
「今年の誕生日ですか? 自宅の風呂でサバイバルゲームをしていました。美容家のIKKOさんにいただいた入浴剤を湯船に入れて、お肌ツルツルになりながら(笑)。
今は男性用コスメが増えつつあるけれど、僕は女性用のコスメも使いますよ。要は肌に合うかどうかだと思います。肌には個人差があるから」
イイ男が自分の誕生日に自宅で入浴剤を入れて‥‥‥誰が想像できるでしょう。深掘りのしがいがある男、斎藤工さん。
誰かのためにきれいになる努力は、美しいと思う。
映画『MANRIKI』には美に執着する女性モデルが登場します。きれいになろうと努力する女性に対して、斎藤さんはどう思うのでしょう。
「“対外的”な美容なのか、“自分に対する”とめどない美容なのか、そのバランスですよね。例えば、恋人のためにきれいになる努力は美しいと思います。誰かのためにという反射の意識があれば。でも整形を繰り返す人のように、さらなる美しさを求めて歯止めがきかなくなるのは、自分の世界に没入していますよね。映画のモデル役の女性も既に十分小顔なのに、さらに小顔を望むという矛盾に気付いていない。増幅する恐ろしさは、男性にとってのギャンブルと似ているかもしれませんね」
日本は調和の国、異分子を認める勇気がない。
美醜に過剰にこだわる国民性は、日本特有のものだと考えるそう。
「日本人は美にとらわれすぎている人が多いように感じます。美への執念が周囲にどう見られたいかを超えた、宗教的な概念になっているんじゃないかな。日本は調和の国なので個人差をよしとしない。異分子を認める勇気がないんですよね。ただ、もしも自分が女性だったら……美にとらわれる輪から、逃れられないだろうなとも思ったりはしますけど」
時代が変わり、今までの当たり前が変わってきていますよね。
様々な視点で日本、世界を見ている斎藤工さんは、俳優、フィルムメーカーとして、ずっと先の未来を見据えています。
「今は時代が大きく変わろうとしている気がします。特にオリンピック前後で東京は様変わりすると思う。今までの当たり前が変わっていくなかで、自分をどう律していくか? 自分をもつことは大切だと思います」
劇中では斎藤工さん演じる整顔師が、人間、見た目ではなく中身だという場面があります。これは作り手が美しさの本質を知っているからこそのセリフ。万力で小顔矯正する衝撃的なシーンと共に、見逃したくないシーンの一つです。
次回後編は、斎藤さん自身の女性観に迫ります。必読です!
撮影/塚田亮平(塚田和徳事務所) 取材・文/間中美希子