みなさん、こんにちは。
大竹稽がお送りする「禅の美容室」。
肌にしみる冬の寒さが始まっています。そんな季節に、ホッと心が温まるひとときをあなたに贈れますように。
前回は「畳に座る」というお寺の生活スタイルを紹介しましたが、今回はそこから展開していきます。能満寺の松本隆行和尚はどのような話をしてくださいますか。
真冬でも裸足で暮らす。
「冷え性に悩んでいませんか?」
いきなりですが、あなたは冷え性ではありませんか?ちょっと想像し難いですが、禅寺には、僧堂生活のまま裸足で生活している和尚もいらっしゃいます。僧堂という修行場では、裸足が基本なんですね。
真冬でも裸足で暮らしています。
得手不得手とか、体質とか、問答無用でみなさん裸足なんです。
「なんでそんなことできるの?」、の答えの一つが、畳の暮らしのようです。前回のふりかえりになりますが、畳の上で座ることで姿勢が正され、血行がよくなります。坐禅には厳しい修行のイメージがありますが、姿勢が正されるということは、リラックスした姿勢が取れるようになるということなんです。
現代人の生活環境は体に過度な負担をかけるものになっている。冷え性や太りやすさの原因にそこもあるようです。
そして「リラックスした姿勢」を言い換えると……「プロポーション」になるんです。
プロポーションとは均整が取れていること。
あなたは「プロポーションの取れた体」にどのようなイメージを持ちますか?
モデル体型でしょうか?
松本和尚も僕も男ですので、根っこ部分で女性に共感することはできませんが、禅における美しさだけは伝えられます。
「プロポーションとは均整がとれていることです。強制・矯正ではないんですね。もちろん、すでにズレてしまっているところを正しく均整のとれたものにするためには、少々の痛みもあるかもしれませんが、一度、均整が取れるとその体はとてもリラックスした美しいものになるんです。もちろん、体だけでなく心も同じです」
プロポーションを意識する。
お寺には良いプロポーションのものがたくさんあります。たとえば、庭の木々。きれいに整えられていますよね。人工的になり過ぎない程度に手が入れられている。
玄関の活け花もそうですし、その玄関自体ももちろん、良いプロポーションをしています。余分なものは、まずありません。
仏像やお堂も、良いプロポーションをしていますよね。
そのようなものを目にすると、ぼくたちの心は落ち着きます。いっぽうでざわざわさせる乱れた庭や玄関もあります。ざわざわするということは、わたしたちにはそもそもプロポーションを知る目と心が備わっていることの証なんです。
「その目と心を生活の中で意識していきましょう。生活が良いプロポーションをしていれば、体もまた良いプロポーションをしているはずですよ」
文・写真/大竹稽(思想家、教育家)