＜私の定番名品＞シスレー エコロジカル コムパウンド

お酒の席で、「人生最後の晩餐は何にするか!?」と盛り上がった時期があった。同じころ、美容関係者が集まると、「南の島に行くのに化粧品を３つしか持っていけないとしたら、どうする？」というテーマでよく盛り上がったりした。30年近く前の話。ある美容家は「絶対忘れちゃいけないのは日焼け止め！　なんだったら、３つとも日焼け止めでいい」と言った。意識高いな。また、ヘアメイクの大御所は「私はリキッドアイライナーね。それから、クリーム（銘柄指定あり）でしょ。最後のひとつは悩むわねぇ……」と、本当にしばし考え込んでいた。ある編集者は「エコロジカル コムパウンドは必須ですね。あれがあれば、きちんと保湿できるし、その気になればクレンジングもできますから」。それを聞いて「ふ～んエコロジカル コムパウンドかぁ」と存在を初めて意識した。

存在を意識してからほどなく、初めてエコロジカル コムパウンド(シスレー) を使った。そのころの私はドライ肌のくせに、クリームはもちろん乳液も嫌い。今考えると、クリームや乳液が嫌いだからドライ肌だったのかもしれない。

当時、取材先で「乳液を嫌わないで使ってみて。手がベタつくのがイヤなら、コットンでなじませるといい」と言われて、その夜、手元にあった乳液で試してみた。確かにコットンでなら手はベタつかないうえ、肌はしっとりする。で、いろいろな乳液を使うようになり、その一環でエコロジカル コムパウンドに手を伸ばした。初めてのときは、コットン使い。たっぷりと含浸させたこともあって、肌の上をスムーズになじんでいった。

後肌はふっくら。何日かコットン使いしてから、手でつけるデビューをした。手でダイレクトにつけてもベタベタは、さほど気にならないし、体温のおかげもあってか、とろけるようになじんでいった。後肌のふっくら感も3割くらい増したみたいで、乳液の有難みをしみじみ。

植物成分の力を美容に応用するフィトコスメトロジーをコンセプトに研究開発されたエコロジカル　コムパウンド。肌質や年齢・性別に関係なく使えることから、本国フランスではまさに一家に1本状態。家族みんなの肌の健康がチェックできることから、ホームドクターと親しまれているんだとか。アフターシェーブに愛用する男性もいるそう。

で、何がすごい！　って、発売以来、処方が一切変わっていないこと。揺るぎない自信が伺える。

・皮膚の線維組織を活性化し、新陳代謝機能の増進や内分泌を促進するほか、精神安定にもつながるオタネニンジン（朝鮮人参）エキス

・ミネラルを補い、皮膚組織の引き締め効果をサポートするスギナエキス

・収れん作用、むくみを好転させる働きがあり、老廃物を速やかに排出するローズマリーエキス

・引き締め効果と抗菌作用を持つタンニンを含むポップエキスは、ストレスが原因の肌あれに対して働き、外的刺激から肌を守る

・繊維芽細胞に働きかけてコラーゲンの合成を促し、ふっくら、やわらかな肌に整えるツボクサエキス

‥‥‥と、植物のパワーがふんだんに詰まっている。

最先端のケミカルな成分ではなく、古来から使われ、きちんと科学的な裏付けのある植物成分配合。そして、乳液ならではのトロッとしたテクスチャーが、肌と心を癒してくれる。一気になじむのではなく、タラタラと肌の上にあるものが、気づけばきちんと入り込んでいるよう。そのいつのまにかなじみ切る寸前の、指の腹が吸いつくような感じはふっくらした後肌を期待させておていれ心を盛り上げてくれるのだ。

本来は化粧水の後に使うもの。だが、洗顔後すぐにエコロジカル　コムパウンドをなじませることがある。疲れ果てている夜とかに。すると、乳液一品だけなのに、化粧水→美容液orシートマスク→乳液orクリームのお手入れフルコース後に負けない、ふっくらフクフクの肌に。

とろ～ん、としたテクスチャーは、乳液によくあるもの。でも、エコロジカル コムパウンドほど植物のパワーが詰め込まれているのはないと思う。最新のちょっととがった感じの成分配合の化粧品にはない、なんか肌がホッとする植物派といえる。何を使おうかと迷ったとき、手が伸びるベスト５以内に入っている。この先も、それは変わらないはず。

ところで、私が南の島に持っていく化粧品3つは……。真っ先に出てきたのは大好きなマスカラで、2番目と3番目は何だっけ!?  思い出せない。今なら、3つ目は何がしかの日焼け止めで、2つ目は間違いなくエコロジカル コムパウンドと即答できそうだ。

撮影／池田敦（Pile Driver）