みなさん、こんにちは。今日はどんな一日になりそうですか?
大竹稽がお贈りする「禅の美容室」。
「忙中に閑あり」、心がなくなりそうなほど忙しい日々に、ほっとたたずむ瞬間をお届けできますように……。
今回で、東京都台東区三ノ輪月洲寺の河又宗道和尚のお話は最後。締めくくりにふさわしく、ちょいとハジケていきましょう。
美容の秘訣は声にあり。
「なぜ僧侶ってこんなに肌ツヤがよくてイキイキしてるんでしょう?」
なんといっても、「禅の美容室」の始まりがココ。そしてココに注目する人たちが何十年も前からいたという事実。
さて、その都度出されてきた大真面目な答えがこれ。
「声を出してるからじゃない?」
何年も同じ問題が出され続けているおかげで、すでに脳科学でも実証されている「声出し」の効果。
たしかに、僧侶は毎日読経します。
「カンジーザイボーサー………」
河又和尚、このあたりどうでしょう?
「わたしたち僧侶は朝課という朝のお勤めでお経を読みます。口先だけでブツブツ言うのではなく、腹の底から声を出します。朝課はお勤めであってわたしたち個人の美容を目的とするものではありませんが、たしかに心身がリフレッシュされます。全身をフルに使いますから、毎朝、エネルギーが充てんされるのでしょう」
じゃ、わたしたちも大声でお経を読みましょうよ。毎日朝の五時に。それで一件落着ですね!
……?
いやいや、これでは解決になってないでしょ。
お経の代わりはカラオケで
たとえば、わかりやすく東京という都市を想定してみましょう。マンションの一室から毎朝、「カンジーザイボーサー」と大声が聞こえてきたら、あなたはどう思われるでしょう?
まぁ不審者‥? 少なくとも近づきたくはない…?ですよね。もしくは110番…しませんか? 東京ほど事態がこんがらがっていなくても、隣人問題は全国に共通するものです。
「毎朝のお経はちょっとできそうにないですね。代わりはありませんか?」
「もうカラオケしかないでしょう」
しかし、カラオケが苦手な方もいますよね。あなたはどうですか?「わたし歌下手だし……」。そういうわたしもカラオケは苦手です。
「歌の上手下手はまったく問題になりません。高得点を狙うような歌い方はむしろ逆効果です。一人カラオケだろうが友達とのカラオケだろうが、ガイドメロディからずれていようが、全力でしっかり歌えばいいんです。」
昨日のあなたを振り返ってみましょう。声を腹から出すような場面はありましたか?怒鳴るとか喧嘩とかはナシにしてくださいね。
周囲への配慮を強いられる現代で、カラオケは腹から声を出せる貴重なシーンです。なんだったら、その作用があるからここまで広まったのかもしれない、と思いました。
「カラオケが美人を作る」なんて信じますか? いずれにせよ、定期的に「声を出す」機会は、元気と美容の秘訣のようですね。
今日の仕事終わりに一曲、どうですか?
文・写真/大竹稽(思想家、教育家)