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SKINCARE】【COLUMN

2020.06.29

コスメも発酵力の時代です!

食べるだけじゃない! 肌にも効果! “発酵”の力が美の未来を拓く。

発酵は時代のキーワードのひとつ。とくに新型コロナウイルス感染の流行によって、納豆やヨーグルトなどの発酵食品が腸内細菌のバランスを整え、免疫の働きを高めると、さらに注目が高まっています。

そして、食品だけではなく化粧品においても“発酵”がブームに!「食べて健康に良いものなら、肌にも良さそう」というイメージはありますが、その真実はいかに? 発酵をベースにした化粧品原料メーカーの「東洋発酵」研究開発部の平松直人さんと、化粧品開発部の本郷嘉人さんのおふたりに、発酵成分の働きとその可能性について教えていただきました。

東洋発酵 発酵技術を用いた食品および化粧品用途の原料を開発し、多くのメーカーに提供。化粧品原料では、大豆の発酵エキスをベースにした「UNIFINE®-CO ユニファイン・シーオー」、「CELABIO®セラビオ」、センチフォリアバラ花エキス発酵液配合の「LACTIBIO®ROSE ラクティビオローズ」など、さまざまなオリジナル成分を開発。
東洋発酵 発酵技術を用いた食品および化粧品用途の原料を開発し、多くのメーカーに提供。化粧品原料では、大豆の発酵エキスをベースにした「UNIFINE®-CO ユニファイン・シーオー」、「CELABIO®セラビオ」、センチフォリアバラ花エキス発酵液配合の「LACTIBIO®ROSE ラクティビオローズ」など、さまざまなオリジナル成分を開発。

サスティナブルな社会への流れが発酵ブームを後押し!?

しょうゆや味噌、納豆など、古くから日本の食卓に欠かせない発酵食品。化粧品においても、今までも発酵を用いた成分を配合したものはありましたが、最近は外資系のメーカーでも発酵成分を用いた化粧品が増えています。

東洋発酵・研究開発部の平松直人さんは、発酵ブームの背景について「2015年の国連サミットで採択された“SDGs<Sustainable Development Goals>持続可能な開発目標”によって、企業の意識が変わってきたことも影響しているのでは?」と言います。

「日本酒製造過程で生じる酒粕を活用した酒粕発酵液や豆腐メーカーが廃液として出る豆腐ホエイの発酵液の開発依頼など、廃棄物の有効活用手段として発酵法が注目されています。また、発酵によるモノづくりは、化学合成に比べ、製造工程において環境への負荷が少ないという面もあります」(平松さん)

よりよい未来のために、環境や社会への配慮が企業に求められる時代。 “サスティナブル”や“エシカル”という言葉とともに、発酵の技術に世界的な注目が集まっています。

基質由来成分×発酵代謝成分でパワフルに肌にアプローチ

東洋発酵・研究開発部 平松直人さん
東洋発酵・研究開発部 平松直人さん

「発酵によって生まれる発酵液には、基質(米、大豆、果物など)由来の成分だけでなく、発酵代謝成分が含まれるのが特徴。たとえば大豆を納豆菌で発酵させると、大豆タンパク質が分解されたアミノ酸(NMF)や保湿作用を有する高分子成分(レバンやポリγグルタミン酸)が生産されます。これらの成分は抽出物からは生み出されません。発酵物ならではの優れた点だと考えています」(平松さん)

もうひとつ発酵の優れている点は、発酵液が水ベースであるということ。

「たとえば、エタノールは清涼作用や抗菌作用を目的として配合される成分ですが、人によっては刺激を感じたり、あるいはエタノールフリーをコンセプトとした製品の場合だとエタノール抽出した原料は使用できません。しかし、水ベースの発酵液はそのような心配がありません」(平松さん)

正しい微生物の選択と最適な条件でこそ、発酵の威力を発揮!

肌への大きな効果が期待できる発酵成分。ただし「発酵させた成分がすべて肌に良い訳ではありません」と平松さんは注意を促します。

「発酵の肝は基質と微生物の組み合わせですが、その選択を誤れば、基質に微生物を混ぜた単なる混合液となり、場合によっては発酵液ではなく腐敗液となる可能性も否めません。『正しい微生物の選択と最適な条件設定が満たされた発酵』を用いた成分だけがよい効果を発揮すると考えています」(平松さん)

“発酵”をうたった化粧品が増えているだけに、どんな成分であるのか、開発への取り組みや企業姿勢をしっかりとチェックすることも大事かもしれません。

さまざまな可能性を秘めた発酵のパワー

「発酵原料の多くは水と馴染みがよく、化粧水、美容液、クリームなど、水が配合されているほぼ全てのアイテムに問題なく配合できます」と語るのは、化粧品開発部の本郷嘉人さん。

スキンケアのさまざまなアイテムに配合できる発酵原料。今後さらなる可能性も期待されています。

「現在、プラセンタエキスやコラーゲンなど古くから化粧品に用いられる素材の美容成分含有量を発酵技術によって増やす試みがなされており、すでに実際の化粧品にも配合されています。また、美容効果にとどまらず、香りやテクスチャーなど、人の感性に訴えかける発酵成分の可能性にも着目しています」(本郷さん)

発酵コスメや発酵美容は、一過性のブームではなく、今後もしっかりと定着していく予感! 発酵パワーが健康的で美しい未来をもたらしてくれそうです。

 

取材・文/小林賢恵