肌断食すると調子が良くなるかもと期待したが…。
20年くらい前、知人が年に1回ファスティング道場に1週間ほど籠ることを習慣にしていた。彼女はファスティング無用なスレンダーな体形。なぜ? とたずねたら、「体調チェックを兼ねたデトックスよ」にこやかに教えてくれた。
さらに、「プログラムを終えた帰り、東京までの電車の中で駅弁とビールをいただくんだけれど……。ビールがおいしいのはもちろん、味覚が鋭くなっているようで駅弁に使われてるうま味調味料が気になるのよ。これはちょっとしか使っていないとか、これは大量に使っているなとか、こっちはゼロっていう具合に。
でも、いつも通りの生活に戻って4日もすれば、うま味調味料が使われているかどうかすらわからなくなっちゃう」と笑っていた。それを聞いて、当時ちょっと流行っていた肌断食をしてみようと決意。肌断食といっても、私の場合、スキンケアを一切やめるのではなく、週末は美容液や乳液・クリームは使わないという緩やかなものだった。結果は、肌の調子が上向くことはなく、1ヵ月くらいで断念した。
肌トラブルで困っている人に肌断食は必要かもしれない!?
そういえば、最近、肌断食って聞かないなぁ。そのあたりのことも含め、ビューティサイエンティストの岡部美代治さんに伺った。そもそも、肌断食って?
「『化粧品は肌に負担をかけたり、肌を甘やかすものだから、たまには化粧品を使わずに肌を休ませて肌自身のポテンシャルを高めましょう』ということのようで、提唱者はアンチコスメ派の皮膚科医」。なるほど、化粧品は肌の敵!とばかりに、どんな化粧品をも目の敵にする皮膚科医が言い出しっぺとは納得だ。
「肌が健康で化粧品を問題なく使っている人には、肌断食は意味のないこと。そもそも肌断食とは、肌トラブルがある人のためのもの」と、化粧品開発に携わったことのある岡部さんはおっしゃる。
1日や2日の肌断食で肌は変わらない。不調なら使っている化粧品を見直した方が賢明。
肌トラブルのない人には意味のないことなのに、20年くらい前、私も含め、我も我もと肌断食に勤しんだ。「美容の編集者やジャーナリスト、ヘアメイクさんもけっこう肌断食していたねぇ。でも、私は意味のないことだと思っていた。なぜなら、肌が健やかになるのをサポートするのが化粧品の役目だから、助けるもので肌の負担になるわけない。健康な肌には肌断食は不要。1日や2日の肌断食で肌は変わらない。もし、化粧品が負担で肌が不調だと感じるなら、その化粧品は肌に合っていないばかりか役目を果たしていないので、化粧品を替えるべき」
肌の調子がよくないなら、肌断食するのではなく、調子が上向く化粧品を探すのが賢明。カウンターで相談したり、サンプルを試したりして。
取材・文/N・ピギー