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MAKEUP】【COLUMN

2020.07.30

ドラァグクイーン ドリアン・ロロブリジーダさんが教える、メイクがちょっと楽しくなる方法(後編)

妖艶なメイクに、煌びやかなドレス。スポットライトのもと、蝶のように舞うドラァグクイーンは、まさに美を具現化したような存在。

今回はそんなドラァグクイーンとして活躍するドリアン・ロロブリジーダさんに、クイーン流メイク術や、ドリアン的美容考察をインタビュー。前編に続く後編では、ドリアンさんが自撮りで挑戦したHOW TOクイーンメイクや、美的ニュースタンダードについてお聞きしました。

ドリアン・ロロブリジーダ ドラァグクイーン 2006年に開催されたドラァグクイーンコンテストで初出場にしてグランプリを獲得。新宿二丁目発本格DIVAユニット「八方不美人」や、好きな歌を好きな場所で“ただただ歌う”ユニット「ふたりのビッグショー」メンバーとしても活動。2019年夏には、日本航空による日本初の試みである「JAL LGBT ALLYチャーター」にスペシャルアテンダントとして搭乗するなど、多方面で活躍中。身長180cm、本名はマサキ。
ドリアン・ロロブリジーダ ドラァグクイーン 2006年に開催されたドラァグクイーンコンテストで初出場にしてグランプリを獲得。新宿二丁目発本格DIVAユニット「八方不美人」や、好きな歌を好きな場所で“ただただ歌う”ユニット「ふたりのビッグショー」メンバーとしても活動。2019年夏には、日本航空による日本初の試みである「JAL LGBT ALLYチャーター」にスペシャルアテンダントとして搭乗するなど、多方面で活躍中。身長180cm、本名はマサキ。

ドラァグクイーンのメイクテクを完全公開しちゃいます!

――ドリアンさん流のドラァグクイーンメイクのプロセスを教えてください。

①	まず、眉をつぶして、のっぺらぼうに。ベースメイクで使うのは『三善』のドーラン3色。36歳の中年男性の肌をド級の美人肌にしなきゃいけないので、カバー力はすごく大事。ドーランはカバー力が凄まじいので、本当にキレイに隠しててくれるんです
① まず、眉をつぶして、のっぺらぼうに。ベースメイクで使うのは『三善』のドーラン3色。36歳の中年男性の肌をド級の美人肌にしなきゃいけないので、カバー力はすごく大事。ドーランはカバー力が凄まじいので、本当にキレイに隠しててくれるんです
②	ベースメイクをしながらハイ&ローライトを入れて、コントゥアリングをつける。
② ベースメイクをしながらハイ&ローライトを入れて、コントゥアリングをつける。
③	コントゥアをなじませたら、最後にお粉を全体にオン
③ コントゥアをなじませたら、最後にお粉を全体にオン
④	次にアイメイク。目の粘膜にインラインを引いたら、ダブルラインのあたりをつけて、そこに影をぼかすように入れる。
④ 次にアイメイク。目の粘膜にインラインを引いたら、ダブルラインのあたりをつけて、そこに影をぼかすように入れる。
⑤カットクリースにハイライトを入れてよりメリハリをつけて。
⑤カットクリースにハイライトを入れてよりメリハリをつけて。
⑥最後にアイライナーでぶっといラインを引く。
⑥最後にアイライナーでぶっといラインを引く。

⑦ハイライトやシェーディングも大事! 頬骨の上にハイライトを入れて、額の生え際、頰、アゴまわりにはローライトを。みるみる彫りが深くなってハリウッド美人のようになるでしょ。

⑧あとはリップ。とにかくオーバーリップに。アタシはすっぴんだと上唇がほぼないので、でっぷり作るんです。ラインを引いて、口紅を塗って、唇の中にもハイ&ローライトを効かせて。ボリューミーで肉感的なリップを目指します。
⑧あとはリップ。とにかくオーバーリップに。アタシはすっぴんだと上唇がほぼないので、でっぷり作るんです。ラインを引いて、口紅を塗って、唇の中にもハイ&ローライトを効かせて。ボリューミーで肉感的なリップを目指します。

⑨最後につけまつげ。つけまつげもその日の気分によって変えるんです。今回は上下ともバッサバサに付けたら、完成!

「いかがでしょうか? なかなかの変身っぷりでしょう?だいたいこれで所要は1時間ちょっと。なかにはベースだけで2時間かけるクイーンさんもいるけど、だいたい皆さん1時間〜2時間が平均的なメイク時間かと」

インパクトのある顔面にするために、発色がいいアイテムが好き。

――愛用のメイクアイテムは?

「ドーランはやっぱり『三善』。『三善』は舞台用メイクブランドなんですが、アタシのメイクはここと、バレエ用品ブランドの『チャコット』のメイクグッズでできていますね。『三善』のステージライナーは黒の発色がとってもいいんです。毛先も細く、繊細な線が描きやすいのもお気に入り。

アイカラーパレットは『Juvia’s Place』。海外のクイーンさんがよく使っていて、発色が鬼のようにいい。やっぱりアタシは発色重視。強い照明が当たると、柔らかい色だとどうしても飛んじゃうし、マイルドよりはがっつりとした顔面が好みなもので」

――すっぴんもイケメンなドリアンさん。スキンケアで心がけていることは?

「落とすことを重視してます。クレンジングはポンズのコールドクリームを長年愛用。クイーンの仕事場は水回りがない場所もあるから、クリームだと最悪拭き取ればいけるので。どんな状況下でも使いやすいし、しっかり落ちるからお気に入り。保湿は友人が開発したイルミライズの美容液を。肌が本当にふっくらもっちりとするので愛用しています」

アンタがやりたいようにやるのが、いちばん美しい。

――ドリアンさんにとっての美的ニュースタンダードは?

周りが押し付けてくる価値観じゃなく、自分がやりたいと思う“美”を追求すること。OLだから、ママだから、クイーンだから。○○だからこういうメイクをしなきゃとか、そういう押しつけがいちばんナンセンス。“自分がやりたいようにするのが、いちばん美しい”ってことを、常に心がけています。今の日本でそれを貫き通すのはすごくタフで体力がいることだけど、でもそっちのほうが人生楽しくなると思うわよ。

メイクアップや美容って、あくまであなたの中にある魅力を外に伝える“手段”。そこに溺れすぎないで、あなた自身の魅力を磨いてほしいです。まずは、あなたの素晴らしさを、ご自分で見つけてください」

シミやシワ? そんなの美しいにきまってるじゃない。

――素敵な考え方ですね。

でも、年々加齢とともに、自分の魅力がわからなくなります…。

「アタシだって、年齢とともにシワやシミ、たるみが増えてきましたよ。でもそこに過剰にリアクションはしない。自然体に老いていきたいから。若さにはできるだけ固執しないようにしています。すっぴんの時も、今のアタシがいちばんキレイなんです。18の時より、25の時より、今の自分がいちばんイイ男。これは周りからも言われるから、本当なのよっ!(笑)

白髪が出てきても、消すのではなく、生かしていきたい。シワだって、ちょっとくたびれたイカしたオヤジになれる要素のひとつ。自然体で美しいおばさま、おばあさまってたくさんいるでしょう? その一方で、見た目的な若さに固執して、とんでもないことになってる方もいる。どっちがカッコいいかって言われたら、私は即答で前者を選びます」

――シミやシワ、たるみがあっても美しいと思う?

「そりゃ、そうでしょ。まぁ基本的にアタシはババアが好きですから。いろんなものをスカッと笑い飛ばせるくらいの。いつかアタシもそんなカッコいいクソババアになりたいわ♡」

 

写真提供/ドリアン・ロロブリジーダ 取材・文/井上幸子