こんにちは、美容ジャーナリストの山崎多賀子です。突然ですが、みなさん日々のなかで、落ち込むことってありますよね。折れた心を力づくで「えいやっ」と立て直すことは案外難しい。でも、外見をキレイで元気に見えるようにメイクすることで、自分でも驚くほどあっけらかんと立ち直ることってあるんです。そんな大げさな、と思うかもしれませんが、ウソではありません。なぜなら、落ち込んでいる心はつねに立ち直る「きっかけ」を求めているから。ポジティブな外見という「きっかけ」が背中を押して、気持ちをムクッと起き上がらせてくれることは、おうおうにしてあるんです。
ネガティブな顔と心をメイクで立て直す。
キレイは生きる力になるんだ…。私がそれを確信したのは、2006年に乳がん治療の抗がん剤治療を経験したときです。まず頭髪は完全脱毛する。そればかりか眉毛やまつ毛も抜け、私の場合は肌がくすんで、肝斑やシミも濃く浮き上がってきました。そうなるとたとえ体調が良い日も鏡に映る私は「重病人」そのもの。体調が悪いときは病人でいるけれど、それ以外は「がん患者」を返上して「普段の私」に戻ろうと心に誓っていただけに、外見の悪化がモチベーションをどんどん下げていきました。
でもなぜモチベーションは下がったのでしょう。当時私は、この顔を人が見たら「重篤な病気」と思われるな。「可哀想」って思うかな。もしかしたら「怖い」「不気味」と思われるかもしれない。そんなのぜんぶ嫌だ! こういう考えがぐるぐる頭をめぐっていました。そう、外見が衰えることによって心が萎えるのは、他人の目、だったんです。
がん患者がキレイだとヘンですか?
外見が理由で外出するのにも気後れする。その一方で、犯罪者でもないのに理不尽だとも思っていました。こんなに長く美容の取材をしてきたのに、これほど心と外見と社会の目のつながりを意識したことはありませんでした。子供のころ「人の評価は外見ではなく内面だよ」と教えられてきた。それは正しいと思う。ただ、外見でも人を評価される社会にいる以上、外見だってやっぱり大切です。
当時は、抗がん剤中のリカバリーメイクの情報などどこにもありませんでした。でも幸いなことに、私は多くのメイクアップアーティストとも仕事を共にしてきて、ポジティブに見えるメイクの理論を知っていました。その理論にそってメイクしてみたところ、我ながらうまくいき「人に見てもらいたい」と、うつむいていた心がムクッと起き上がったのです。そして実際に仕事先で、私の病気のことを知らない同業者から、「きれいになった」と言ってもらえたのです。
その瞬間、心の中でガッツポーズをしました。「これで私は大丈夫、乗り越えられる」と、内側からエネルギーがふつふつと湧いてくる感覚は、今でも忘れられません。同時に、「化粧の力ってすごい!」と思いました。だって、病気前よりもキレイと言われたのですから。この経験から、美容と外見と心と社会の関係について、どんどん関心をもつようになりました。
ポジティブな心を作るコントロールカラーは必須アイテム
ポジティブな印象を与えるポイントのなかで、なんといっても大切なのは健康的な肌色です。それを効率よくつくってくれるのが、くすみをカバーし、透明感と明るさ与えるコントロールカラー(肌色補正効果のある化粧下地)です。おすすめはいくつかありますが、発売直後からもう15年近く、ずっと愛用しているのが、ピーチピンク色のヌーディモアのブライトンカラーUV(30g ¥3,200・税別/ヌーディモア)です。しっかり保湿をしたあと、肌にのばすだけで、黄ぐすみが消えるだけでなく、目に見えて肌が明るくなる。元の肌色を選ばずなじむのもすごいところで、肌に透明感が宿るだけで、気持ちも上がるから不思議です。
「これがあれば」と自分をポジティブにしてくれるコスメをいくつか見つけておくと、とても心強いものです。
これからも、私の経験を通した「キレイの力」と、「元気をくれるコスメ」についてお届けしていきますね。
文・写真/山崎多賀子 美容ジャーナリスト