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MAKEUP】【COLUMN

2019.07.31

<きれいの舞台裏>ヘア&メイクアップアーティスト 山本浩未さん(後編)

山本浩未(やまもと・ひろみ)さん
ヘア&メイクアップアーティスト。「今すぐ実践できるメイクテクニック」を発信し、メイクのみならず、元気になるポジティブな美容理論が好評。明るい人柄が人気。講演や商品開発など幅広く活躍する。
山本浩未(やまもと・ひろみ)さん ヘア&メイクアップアーティスト。「今すぐ実践できるメイクテクニック」を発信し、メイクのみならず、元気になるポジティブな美容理論が好評。明るい人柄が人気。講演や商品開発など幅広く活躍する。

美のプロのきれいの裏側を教えてもらうこの連載。初回は第一線で活躍するヘア&メイクアップアーティスト・山本浩未さんにご登場いただき、前編では浩未さんのヘア&メイク人生についてうかがいました。さて、ここからはいよいよ、浩未さん流メイク技をご紹介します!

ずばり聞きます! 浩未さんのナチュラルメイク、大事なポイントとは?

「まずは何より、メイクのりがいい肌を作ること。タレントさんや女優さんは撮影に備えてある程度肌のコンディションを整えて来てくれる方が多いのですが、それでも肌状態が今日はちょっとイマイチかなという時もあります。

一般の女性なら、なおさらそういう日のほうがきっと多いと思うんです。そういう時こそ、肌の上にいろいろ塗ってカバーしようとするのではなく、まず肌自体のコンディションを上げることが、遠回りなようでいて実は近道。そして肌を元気にするには温めることがいちばん」

肌を元気にするために温める。だから“スチームON顔”が生まれたんですね?

「はい、“スチームON顔”は、どんな肌質でも負担なく安心してできて簡単なケアです。しかも心も気持ちよくなってポジティブになれる。

ホカホカの蒸しタオルを顔に当てて、“温める・拭く・流す”だけ。シンプルなメソッドですが、肌がワントーン明るくなってピンとするのを感じられるはず。

またヘア&メイクの現場ではスチーマーを絶えずつけています。これは肌に直接当てて使うのではなく、まわりの空間に湿度を持たせるため。肌の水分が奪われることなく、しっとり潤ってきます」

どんな現場にも必ず持っていくのが、肌状態を整えるためのアイテムたち。スチーマーと美顔器、浩未さんプロデュースの「KOBAKO」のスチーム洗顔タオルとシルクマッサージブラシ(手前2つ)。
どんな現場にも必ず持っていくのが、肌状態を整えるためのアイテムたち。スチーマーと美顔器、浩未さんプロデュースの「KOBAKO」のスチーム洗顔タオルとシルクマッサージブラシ(手前2つ)。

他にメイク現場で手放せないものは?

「一般の方はあまり使わないかもしれませんが、この2つ、スパチュラとガラスの小皿が欠かせません。ファンデーションやリップは混ぜ合わせて色を作ることが多いので、スパチュラで取って小皿の上で混ぜて…という作業が多いんです。このひと手間でその人により似合う色を見つけて、一層のきれいを探していきます」

浩未さん愛用のスパチュラ。パックを拭き取るなどさまざまな用途に使う。
浩未さん愛用のスパチュラ。パックを拭き取るなどさまざまな用途に使う。

真似するのは難しそうですが…色は一旦取ってからなじませることが大事?

数色のファンデーションを混ぜて使うなど、現場では欠かせない小皿。
数色のファンデーションを混ぜて使うなど、現場では欠かせない小皿。

「例えば、筆に取ったパウダーを手の甲ではたく、一度塗ったリップはティッシュオフしてからまた重ねる、筆に取ってから唇にのせるなど、ちょっとしたひと手間を挟むことで、きれいは格段に上がるもの。別に難しいテクニックは必要ないんです。

それと、私が『必ず持っていてね』とお伝えしているのが、綿棒とスポンジ。メイクは好きな色を自由にポンポンのせていいんです。ちょっとラインを長く引きすぎたかな、濃くなりすぎちゃったかな、うっかりはみ出しちゃったというのを、あとからスポンジや綿棒でおさえてなじませてあげればOK。結果が“きれい”であれば、その過程はどうであれ全然いいんですよ」

必需品のスポンジと綿棒。スポンジは洗うのではなく、使用した部分をハサミで切り落として、常に新しい面を使うのがポイント。

さらにメイク上手になりたいのなら?

「ブラシをそろえましょう。顔の上で使用するパーツ、目元や頬など適材適所で使いやすいブラシがあると便利ですし、メイクもより簡単に手早くできるようになります。チークは毛量のたっぷりとしたブラシを、目元は太さの違う2本を、眉用もタイプ違いのものが2本あるといいですね。あとは、好みの肌に応じてハイライト用のブラシを持つのもおすすめです。ツールは賢く楽しく使いましょう」

いつも同じメイクになるという悩みも多いですが、どうしたらいいですか?

「新しいメイクをするのって確かにちょっと勇気がいりますよね。でも、例えば流行りの服を買って着た時に、袖をくるくるまくったり、襟を自分の顔に似合うバランスに立てたり、裾をたるませたり、自分なりに着こなしますよね。それと同じ。メイクも濃淡を変えたり、ツヤやラインを足したり引いたりして、自分の顔に合うよう“こなす”ことがとても大切です。私の本でも紹介していますが、朝の時間がない時に慌ててしまうと失敗が怖いから、夜メイクを落とす前に“闇練”するのがおすすめ。失敗しても落とすだけだから安心して試せます」

最近はテラコッタやオレンジ、ピンクなどカラーメイクが流行っている一方、失敗しそうという声も…?

「実はトレンドのカラーは、絶対に失敗することはありません。なぜかというと“流行っている色”だから。その色を使うだけで、見る側が流行りの今っぽい顔という風に認識してくれるんです。だから、臆せずどんどん使ってみましょう!

色からトレンドを取り入れるのは外すことがなく、とてもおすすめの方法です。今どきのど真ん中の色を1個持っておく。顔全体のメイクを変えるのはハードルが高くても、目元、口元、チークのどこか1カ所にトレンドの色を使ってみることはできるはず。それだけでいつもよりグンとあか抜けた印象になりますよ」

この春夏はオレンジやレッド、ローズなどのカラーバリエーションが実に豊富。「ワクワクするでしょう? ぜひ気になったものを試してみて」
この春夏はオレンジやレッド、ローズなどのカラーバリエーションが実に豊富。「ワクワクするでしょう? ぜひ気になったものを試してみて」

ベースメイクはどうしたらいいでしょう?

「今は“肌は軽め”が主流です。ちょっと色ムラがあるくらい元の肌質を残して、気になる部分のみぼかされた感じがちょうどいい。それには下地がカギです。くすみを払ってベースを整えた上に、ファンデーションはごく薄くのばす。時間がない時や持ち歩けるものがいいなら、クッションファンデも便利。スキンケア効果が高く、カバーしながら肌を整えてくれるものがたくさん出ているのでぜひ試してみて」

数あるコスメの中で浩未さんが自腹でも買いたいものは?

「スキンケアは米澤式健顔のディープクレンジングクリーム。これは肌にのせて15分間マッサージをするのですが、季節の変わり目や肌調子が悪い時に、立て直すために行っています。クレンジング後は不要なものがきれいに落ちて肌がすっきり。15分間をマッサージに使うというのもすごく贅沢ですよね。

メイクものはルナソルのトリートメントマスカラベースイプサのデザイニング フェイスカラーパレット。マスカラベースはまつげのカールをきれいに持ち上げて太くしっかりしてくれ、フェイスカラーはチーク、ハイライト、シェーディングになじませ色の4つのパウダーが入っていて自然な陰影のある顔立ちが簡単につくれます。どちらもかなりリピートしていますよ」

今回、心・気持ちという言葉が何度か登場しました。最後に浩未さんが実践している、メンタルを整える方法を教えてください。

「先ほどお話ししたクレンジングを15分かけて行うのもそう、蒸しタオルで肌を温めるのもそう。たまにじっくりと落ち着いてお手入れをすることが、より気持ちを安らかに整えてくれます。その時、深い呼吸も意識しています。

スキンケアもメイクも毎日の生活の中で、どうしてもルーティンになってしまうと思うんです。でも、たまにはルーティンではないお手入れをしてみる。自分をたっぷり可愛がってあげる。流れ作業ではない自分自身へのケアは心を落ち着かせて整えてくれます。そして心が元気になれば、顔つきも表情もイキイキとしてくる。やっぱり心と顔は支え合ってできているんです。心が元気ない時のスパイスにメイクを楽しんだり、メイクが決まることで気持ちが前向きになったり。そうして、きれいになることを楽しんでくれる女性が増えたら素敵ですね!」

 

 

常に明るく、いつも元気いっぱいでその場をパアッと華やげてくれる浩未さんだからこその、きれいの裏側。いかがでしたか?

何かひとつでも、日々のきれいを育むヒントにしていただけたらうれしいです。

 

撮影/国府田利光 取材・文/杉浦凛子

撮影協力/Caffice(カフィス)新宿区新宿4-2-23 新四curumuビル2階