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Inner Care】【COLUMN

2020.06.12

女性特有の罪悪感「開き直って生きること」のススメ

働いていないっていけないこと?

コロナの影響などから働き方を変えた方の相談を受けることが多くなった。

 

K子さんもそのひとりで外資系ホテルに勤務していたのだが、会社側の都合で退職を強いられてしまった。たまたま上司とトラブルがあったこともあり、会社を辞めたいと思っていたので好都合でもあった。しばらくのんびりしようと解放感に浸っていたのは1週間ほど。すぐになんだか居心地が悪い気持ちになったそうだ。

「働いていない私って価値がないかも」

しばらくは、この罪悪感を埋めようと手の込んだお菓子を作ってFBにUPしてみたり、夫の好きな料理を作って帰りを待っていたりしてみたが、ザワザワする気持ちがより大きくなり、私の相談室を訪れた。

 

よくこういうときの気持ちの解決法として、「人は生きているだけで価値があるから」と声をかける。頭でわかっていてもそう思えないから苦しいわけで、そう思えない自分にまた罪悪感を持ってしまうものだ。

女性特有の仕事をする上での罪悪感。

そもそも、働くことで得ているものはなんだろう。人によって多少感覚の違いはあるかもしれないが、「人や社会の役に立っている」という感覚だ。だから、役に立っていない人間は、ダメなヤツだと思ってしまう。

しかし、男性からこのような相談を受けることはめったにない。女性の方がはるかに、「仕事をしていない私は価値がない」という思考をもちやすい

専業主婦だった母親を持つ娘はバリバリ働いたり、親が働いていて鍵っ子だった娘は完璧な主婦を目指したりすることもある。

自分なりにつくってきた「~しなければならない」信仰と、母親のぼやきなどから得た「~すべき」に縛られることが多いのである。男性の場合は女性のように掛け合わせる項目が少ないので「~しなければ、~するべき」と思うことが少ないように思う。

・女性も社会進出するべき

・女性は仕事と家庭を両立すべき

・男性以上に仕事をしないと女性は認められない

などいろいろ自分なりの持論があり、それに当てはまらなくなると「自分はダメだ」になってしまう

自分はダメ人間だと認めてしまおう。

さて先ほどのK子さんとは、3つのことをセッションで扱った。

1)「仕事をしていないと自分はダメな人間だ」と思っていることを自覚する

2)いっそのこと、「自分は仕事をしていないダメな人間」であると認める

3)とことんダメ人間としての自分を味わってみる

こういうときはがんばって生きてきた自分の価値は、深いところで認めているのに、そう思えない自分にもジャッジしてしまっている。どうせなら「自分は仕事もできたし、がんばってきたけれど、ダメダメ人間のところもある」と開きなおって認めてしまった方が楽になることがある。

 

その後、K子さんから私にメールがあった。

そこには、「仕事をがんばらない部下を厳しく叱ってしまったこと」、「自分の~すべきで周りを振り回していたこと」、そんな自分に気がついたそうだ。今後はもっと自分や周りに優しく軽やかに働きたいと語った。

 

文/井上野乃花