みなさん、こんにちは。今日はどんな一日になりそうですか?
大竹稽がお送りする「禅の美容室」。
目がくらむように過ぎ去る時間からちょっと抜け出し、立ち止まってみましょう。道ばたに咲く花の美しさに気づくかも……そんなコラムになりますように。
岩田和尚のお話、三回目になりました。
http://www.souzenji.jp/
初回でのお話は「心のリズムはお肌のリズム」。心が穏やかで安定している人は、お肌もきれいになりますよ、でしたね。
「そういわれても、わたし……」、ふいに岩田和尚の顔に影が差しました。おや、なんでしょう?
「現代の仕事のスタイルはさまざまです。『そういわれても、わたしの仕事には夜勤があって、とてもじゃないが規則正しい生活なんかできません!』なんて方もいらっしゃいますよね」
こんな嘆き(あるいは恨み節)が、しばしば和尚に投げかけられるそうです。
「やろうと思っても、物理的にも現実的にも、ムリ!」とおっしゃる方、あなたはどうでしょう? 看護師さんや介護福祉士さん、あるいはタクシーの運転手さんはどうしても夜勤がありますよね。そのため、体重が増加したり、疲労が蓄積したり、肌が荒れたり……、悩ましいところがあるのではないでしょうか?
不規則も継続すれば規則になる。
それに、始めたことを続けるのもたいへんなこと。わたしも身に覚えがあります。減量に挑みつづけてもう二十年経ってしまいました……。いろんなことを試しましたが、はずかしながら三日坊主です。
「本格的なことをしようと思ってもそうそう続かないでしょう。わたしたち禅僧の多くは『坐禅をしましょう』とアドバイスすることが多い。でも、坐禅はたいへんです。そこで、不規則な生活を送っているあなたにオススメするのが、寝る前10分の深呼吸。ゆったりと座り、心を落ち着かせ呼吸を整え、ゆっくり吐いてゆっくり吸う。そして、その日にどんなことがあったかを振り返りましょう」
「寝る前10分の深呼吸」、そうなんです。これを習慣にすることで不規則な生活がそのまま規則的になるんです。初回のコラムで、「内なるリズムは時計では計れない」と和尚がおっしゃっていたのは、このことなんですね。
感謝の心で美しくなる。
「大切なことは、感謝すること。一日を振り返りながら、「ありがたい」ことを思い出していきましょう。たとえば、『上司からほめられた』『ごはんがおいしかった』『すっきり起きられた』というものから、『道ばたでかわいい花を見つけた』など、10分間で三つくらい思い出してみましょう。そして、どうしようもないことで悩まない。どうしようもないことをどうにかしようという心は捨ててしまいましょう」
わたしたちは当たり前の日常にうずもれてしまうと、感謝の心を忘れてしまいがちです。
しかし、感謝することと美容がどのようにつながるのでしょうか?
「感謝の心が生まれることで自分が変わります。人は自分よりも周りを変えようとしますが、禅はその反対を教えます。まず、自分が変わる。すると必ず、周りが変わってきます。小憎たらしい上司も、自分が変わればかわいらしく見えてくるものです。その結果、心は波立たなくなり、あなたの顔に笑みと張りと美しさがもどってくるでしょう」
寝る前10分感謝の深呼吸。いかがですか?
寝る前じゃないですが、わたしも今日を振り返ってみました。『雨が降って庭の草木が喜んだ』『ノラ猫のシマが寄ってきた』『シロシキブが届いた』、感謝、感謝、感謝です。あ、眠くなってきました……。
文・写真/大竹稽(思想家、教育家)