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Inner Care】【COLUMN

2019.12.08

仲良くケンカしな

みなさん、こんにちは。
大竹稽がお送りする「禅の美容室」。

おかげさまで巨島(おおしま)和尚お話が好評でして、浜松からのお話で締めくくっていきましょう。

さてみなさん、いきなりですが今回のタイトル「仲良くケンカしな」。アレを思いだされる方はどれほどいらっしゃるでしょうか?
そうです、アレとは『トムとジェリー』。その主題歌のワンフレーズが「なかよくけんかしな」だったんですね。

「トムとジェリー なかよくけんかしな トムトムトムニャーゴ ジェリージェリージェリーチュウ 猫にネズミがかみついた……」

で始まるこの歌、思わず口ずさんでしまえるあなたとは、同じ幼少期を過ごしてきたかもしれませんね。

仲が良い?ケンカする?

おっとっと。わたしはこんなところから昔を懐かしもうというのでもなければ、ましてやアニメ評論家ではありません。お話すべきことは、心の美容。

このフレーズ「仲良くケンカしな」に、健やかな心のヒケツが隠れているんですよ!ということです。そうなんですよ。

例えば、あなたが風邪をひいてしまったとき。

なんだこの風邪菌!こんな風邪なんかブッ飛ばして、とにかくはやく回復したい!
そんな気持ち、わたしもよぉくわかります。

そうはいっても、このような焦りやイライラで、いっそう体調を崩してしまったことはありませんか?

「風邪を引いたら無理をしない。おとなしく寝ながら、風邪とつきあいましょう。熱や頭痛でたいへんでしょうが、ゆっくりと滋養と回復につとめていれば、いつかきっと、風邪は退散してくれますよ」

と、巨島和尚。

つまり、風邪と「仲良くケンカしましょう」ということですね。

絶縁しない。

「風邪だけではありません。私たちは様々な病気になります。しかし、そのような病気と徹底抗戦しようとしては、心のバランスが壊れ、心は疲弊してしまいます」

医療界でも、バイキンの根絶よりも、人間の免疫力を高める方向に移行しつつありますよね。もちろん、悪さをする菌にはそれ相応の「医療」が必要でしょうが、わたしたち自身の体がもっている力を高めることもできるはずです。「無菌社会」というのは、いまやマイナスの意味を持ったフレーズになっています。

「病気だけではありませんよ。わたしたちは、しばしば、憎たらしいものと絶縁したくなります。たとえば上司。ムカつきが止まらない上司の顔なんて、二度と見たくないし、この世から消えて欲しいと思ったりしませんか? お気持ちはよくわかりますが、そんな上司とも『仲良くケンカする』気持ちでいましょう。徹底抗戦はあなたの心に有害です。憎しみはあなたの心をみにくくします。『しょうがねぇな、まったく』くらいの余裕をもちましょう。小さな余裕でいいんです。これのあるなしで、心は大きく変わっていきます」

風邪だけじゃなく、夫や老いに対しても。

いかがでしょう、みなさん。

「しょうがねぇな、まったく」は、自分自身にも通用しますよね。こんな自分、絶対許せない!という不寛容な心ではなく、「こんな自分、まったくしょうがねぇな」という余裕。そして自分を許していくこと。つまりそれは、他者を許す心につながっているのですね。

人間関係では、もしかしたら「夫」が憎い相手になっているかもしれません。いつか離婚してやる!というよりも、「仲良きケンカしていこうか」と考える。

「老い」や「貧しさ」のようなわたしたちを苦しめる「元」もそうです。

老いとも仲良くケンカする。貧しさとも仲良くケンカする。

人生に損得はありません。良いとされることも悪いとされることも、諸行無常なのですからね。

 

文・写真/大竹稽(思想家・教育家)