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Inner Care】【COLUMN

2019.01.04

あなたの気付かないプロポーションがまだまだあるかも。

みなさん、こんにちは。

大竹稽がお送りする「禅の美容室」。

肌にしみる冬の寒さが始まっています。そんな季節に、ホッと心が温まるひとときをあなたに贈れますように。

前回は、『プロポーションが美しさの奥義』をお話ししました。そこからさらに、今回も能満寺の松本隆行和尚とともに展開していきましょう。

『必要なものはすでに足りている』というプロポーション

なんでも揃っている、それが便利とされる現代。たしかに、真夜中でもコンビニは開いているでしょうし、必要だと思うものがあれば、夜中の2時でも買いにいけます。でも、この便利さに実は落とし穴がある……んですね。

前回の終わりで、さらっと「余分なもの」というキーワードを出しておきました。これとっても大事なメッセージなんです。

「プロポーションを見極めるには、余分なものがあってはなりません。たとえば、仏像もそうです。均整がとれている仏像には、余分なものがついていません。なにかふしだらな思いで仏様に豪華な服を着せてしまったら、どうでしょう。そんな仏様に手を合わせようと思いますか?」

たしかに、だれもが認める仏像は、ほんとうに簡素でありつつ、美しいものですよね。松本和尚、仏像以外にはどうでしょう?

「均整の取れた玄関にも、余分なものはありません。靴も必要なものが揃っていればいいんです。そして必ず、出しっ放しにしておかない。これもまた、美しさですよね」

もし、福の神がいたとしたら、どうでしょう?扉を開けて目にした玄関に靴が乱雑に脱ぎ捨てられていたら、きっと尻込みして引き返してしまうでしょうね。

人のプロポーションとは?

「人も同じですよ。『本来無一物』という禅語があります。執着するようなものはなにもない、という意味ですが、翻って考えれば、わたしたちにはすべて、揃っているということなんです。

人も『素裸』が一番美しいのですが、まさか裸で外を出歩くわけにはいきません。もちろん、わたしたち僧侶も服を着ますし、頭を剃ります。化粧が必要な方もおられるでしょう。でも、それは手を加えすぎないところまでにしないといけませんね」

あるもので勝負する。

「わたしたちにはすべて、揃っている」、これが肝要なんですね。ぼくが目につくところは、どうしても他と比べて劣っているところなのですが……。あなたはどうでしょう?

それでは……なんですね。

「ないものを補おうと、いろいろなものを塗りたくって重ねていったら、ほんとうのあなたはどこに現れるのでしょう? あるもので勝負する、それがあなたの真のプロポーションなんです。大事なことは、あなたにはそもそも必要なものが揃っていることを信じることなんです」

さて、松本和尚のお話しを三回にわたってお届けしましたが、実はさらにとっておきの一回が残っています。そのヒントは……これまでの写真のどこかにありますよ。ご期待ください。

文・写真/大竹稽(思想家、教育家)