気になる噂「膣炎にヨーグルトが効く」って本当ですか?
蒸し暑くなると増えてくる膣周りのお悩み。過剰なおりものや、むず痒さ、ヒリつく痛み……。デリケートな場所だけに人に相談できず、病院に行く勇気も出ず、とりあえず「○○がいいらしいよ」と、聞いたことを試してみるという人も多いようです。
そして最近よく聞くのが「ヨーグルトで膣炎が治る」というもの。これ、本当なんでしょうか⁉ 気になる真相を探るべく、対馬ルリ子女性ライフクリニックの古川佳容子先生にお話をうかがいました。
【膣炎の原因】免疫力のダウン 乳酸菌が膣をきれいに保っていることは事実。
――まず、膣炎はなぜ起こるのでしょう?
「多くは体の免疫力のダウンが原因です。生活の乱れやストレスによってホルモンバランスがくずれ、膣にいる常在菌の働きが落ちると細菌が侵入し、炎症を起こしたり、感染症にかかりやすくなってしまいます」
【膣炎の症状】おりものが増える・きつい臭い・強い痒みが数日続く。
「主な症状としてはおりものの量が増え、臭いがキツくなったり、強い痒みやヒリヒリとした痛みが挙げられ、数日続くようなら膣炎を発症しています。
こうした細菌による感染を防ぐ、つまり膣の自浄作用を保っているのが常在菌です。この常在菌のひとつが『乳酸菌』。膣を酸性の状態に保ち、健やかに整えてくれる働きがあります。膣のバリアのようなものですね」
【膣炎ケア】ヨーグルトを塗っても効果なし。ただし膣内環境を整えるにはGood!
――乳酸菌がいいのなら、ヨーグルトを塗るのも良さそうですが…?
「確かに体が本来持っている乳酸菌は膣の健康に大切です。ですが、ヨーグルトに含まれる乳酸菌が、膣に塗った後にきちんと育つことができるかどうかというのは別問題。乳酸菌が成育して膣のバリアとならなければ、効果があるとはいえませんし、ヨーグルトの種類も、含まれる乳酸菌の種類も実にさまざま。どの乳酸菌が自分の体に合い、ちゃんと育つかとなると検証は難しく、残念ながら効果は期待できないですね。
また、ヨーグルトによっては含まれている添加物なども気になるところ。こうした自己流のケアはリスクも伴う可能性もありますから、気をつけましょう。ただし腸内環境を整えるのと同じように、膣内環境を整えるためにヨーグルトを食べることはいいと思いますよ」
【膣炎ケア】とにかく体調管理が優先!
――では、膣炎になったらどんなケアをするべきですか?
「まずは病院で適切な処置を受けること。症状や病原菌に合わせて膣の消毒・洗浄、投薬を行って治療していきます。そして常在菌の働きを高めるため、体の免疫を上げるように規則正しい生活を心がけましょう。暴飲暴食や睡眠不足に気をつけて。また風邪をひいた時などに処方される抗生物質は常在菌の働きも抑えてしまうことも。不調の時は何より自分の体をいたわってあげることが大切です」
【膣炎ケア】膣カンジダ・クラミジア感染症・糖尿病…他の病気も潜んでいるかも!?
「特に強い痒みや白くポロポロとしたおりものが現れる『膣カンジダ』は、女性に多く再発しやすい病気です。一度、病院で膣カンジダと診断されたことがある人は、繰り返して症状が起こっている可能性が高いので市販薬を試すのもいいでしょう。
この他にも、もしお腹の痛みを伴っていたら『クラミジア感染症』の可能性もありますし、膣炎が頻繁に起こるようなら『糖尿病』などが隠れている場合もあります。自分で判断せずに専門医に相談してくださいね」
残念ながら膣炎を治す効果はないものの、予防ケアとして、ヨーグルトはやっぱり女性の美と健康の強い味方。上手に体をメンテナンスしながら、いざという時に相談できるかかりつけの婦人科があるといいですね。
写真提供・取材・文/杉浦凛子