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BODY CARE】【COLUMN

2019.11.09

「隠す」から「見せる」。解放されたからだはボディケア熱を高める!

なんのためにスキンケアをして、メイクをするの? 「キレイになるため!」。それなら、なんでキレイになりたいの? 「え!?」 そう思ったみなさんにおすすめの連載コラム。化粧文化研究家の山村博美さんが、キレイをあらゆる角度から紐解きます。

目指せ、美ボディ! ボディケアの意識は平成の間に一気に高まった!

「キレイなからだを手に入れるにはボディケアが大切」というのは、今では一般常識。

最近は「筋肉は裏切らない」がキャッチフレーズの筋肉体操がブームになり、ジムに通う「筋肉女子」も増えているとか。

筋トレなどエクササイズに興味がない女性でも、ダイエット用のサプリメントを飲んだり、肌の保湿やスリミングを目指してボディケアコスメを使うのはよくあること。エクササイズからコスメまで、ボディケアは、もう私たちのライフスタイルの一部です。

でも、日本でボディケアがここまで生活の中に入りこんできたのは平成になってから。意外と歴史は浅いのですが、それには理由がありました。

昔は着物、今は洋服。からだの美意識はファッションで変わる。

もともと日本の伝統衣装は着物。反物を直線裁断してつくられる着物は、からだをおおって体型をすっかり隠します。足が短くてもずん胴でも、目立たないのが着物のいいところ! コルセットでウエストをギュッと締めて、くびれを強調した欧米のドレスとは対照的です。そのため、着物を着ていた時代の日本では、「からだは隠すもの」という意識が強く、欧米に比べて体型への関心は低かったのです。

明治末期の着物姿の女性。ヘアスタイルは和洋折衷の束髪「二百三高地」
明治末期の着物姿の女性。ヘアスタイルは和洋折衷の束髪「二百三高地」

そんな日本女性の意識が変わりはじめたのは戦後。手足があらわになる洋服がふだん着になると、欧米の女性のようなスタイルに憧れるのは自然の流れでした。下着でボディラインを整えるところからはじまって、高度成長期を迎えて生活が豊かになるにつれ、次第にダイエットやエクササイズへの関心が高まります。

「塗るだけでやせる」と口コミで大ブレイク。スリミング化粧品登場!

そして、昭和末期から平成初期に盛り上がったボディコンブームを機に、からだへの意識は、「見られる」ものから「見せる」ものへと大きく様変わりしました。

当時を振り返ると、’91年に宮沢りえのヌード写真集『サンタ フェ』が大ヒット。彼女のヌードは健康的で、女性が肌を見せることへの抵抗感を消し去ったのです。

さらに’90年代後半のスーパーモデルブームの時は、ナマ足にスリップドレス、シースルーなど肌を露出するファッションが大流行。これはもうボディケアの意識が高まらないわけがなく、ダイエット、エステ、エクササイズと、美ボディづくりがみんなの関心事になりました。

そこに登場したのがスリミングコスメでした。覚えている方も多いと思いますが、ブームの火付け役は、’95年発売のディオールのスヴェルト。「塗るだけでやせる」と口コミで評判になり、爆発的に売れた伝説のコスメです。

「キレイなからだ」は自己表現。 「魅せる」からだは自分でつくる時代に!

スヴェルトを皮切りに、各社からスリミングコスメが次々と発売されました。日本女性がボディケア用のコスメになじんで積極的に使うようになったのは、これ以降なのです。その後、ボディケアコスメは保湿やスリミングだけでなく、バストケア、ネック&デコルテ、マタニティケアなどと、機能別、パーツ別に細分化しながら進化しています。

今や「キレイなからだ」づくりは自己表現の手段! 「筋肉女子」もそうですよね。どんなボディケアを選ぶかは人それぞれですが、私はネック&デコルテのコスメに注目しています。うつむいてスマホを使うことが多い今、気になるのが首の横ジワ。年齢が出やすい首やデコルテをあらかじめケアしておけば、Vネックのセーターも自信を持って着こなせます。「人生100年時代」を迎えた令和には、こうした大人のパーツケアが隠れた必需品になると予想しています。

文/山村博美