細かい文字ビッシリの成分表示のおかげで、アレルギー体質でも化粧品選びがラクに。
化粧品の外箱やボトルに配合成分が細か~い文字で記されている。以前はこれほど成分名は印字されていなかった。なぜなら、2001年4月に法律が改正され、化粧品は全成分表示が義務づけられたから。おかげで、アレルギーや化粧品かぶれが心配な人の化粧品選びがしやすくなった。私の友人もアレルギーがあるので、全成分表示のおかげで新製品も使いやすくなったという。その友人、全成分表示以前は万が一を考えて無添加化粧品しか使えなかったとか。無添加化粧品と全成分表示、関係があるのだろうか。そこのところから、ビューティサイエンティストの岡部美代治さんに教えてもらった。
「無添加化粧品は、一般的に皮膚障害やアレルギーなどを引き起こす可能性のある化学物質を含まない化粧品のこと。だから、無添加化粧品が肌にやさしいというのはウソではありません」とおっしゃる。
無添加でなくても安心して使えるものが、日本の化粧品に多い。
「無添加化粧品が誕生した背景には、昭和40年代に大きな社会問題になった女子顔面黒皮症がある。これは化粧品に含まれた有害な成分が肌に繰り返し触れることで炎症を起こして、その部分が黒く色素沈着してしまうトラブル。当時は精製技術が未熟で、化粧品原料に不純物が混入したりしていた。その結果、肌のバリア機能が損なわれ、アレルギー性皮膚炎となり、女子顔面黒皮症になってしまったんです。『色素や鉱物油などの化学物質は肌にダメージを与える!』というイメージが定着した」と、当時、化粧品メーカーに入社していた岡部さんは業界全体で安全性の向上に取り組んできたと続けた。
「つまり、無添加化粧品はアレルギーや皮膚障害などを引き起こす可能性のある成分を含んでいない化粧品。だから、無添加化粧品は肌にやさしいという…」。が、2001年以降、全成分表示になったのだから、無添加というのを特にアピールする必要はないと思う。
しかし、“無着色・無香料・パラベンフリー・アルコールフリー・鉱物油不使用”を明記して、無添加化粧品とうたうメーカーがある。「それはイメージの問題で、現在、無添加化粧品の基準は特になく、メーカーの判断で無添加かどうかを決められる。最近は、遺伝子組み換えの原料が使われているかを表示するのが安全性の基準になってきている」とも。さらに「今、日本の化粧品の安全性の水準は世界で1、2位を争うほど。無添加でなくても肌にやさしいものがそろっています!」。
取材・文/N・ピギー