食用オイルを美容オイル代わりに使うのって…。
オイル美容の人気はすっかり定着し、スキンケアやボディケアにオイルを愛用している人が増えています。個人の美容ブログなどでは、食用のオリーブオイルやココナッツオイルを肌に使用している人もちらほら目にします。「食べて良いものなら、肌にも良いのかも」「100%ナチュラルならOK?」「エクストラヴァージンオイルなら大丈夫?」と浮かぶ疑問。そこで食と美容、両方のオイルのエキスパートである「一般社団法人 日本オイル美容協会」の津村玲子さんにお話を伺いました。
食用のオイルも高品質なものなら美容にも使える?
いきなり結論から入ってしまいますが津村玲子さんは「食用のオイルを肌やボディなど、美容に使用するのはおすすめしません」と、ズバリNO! のお答え。
「100%ナチュラルなら?」「高品質のエクストラヴァージンオイルなら?」と、つい思ってしまいますが、実は食用のオイルと美容用のオイルでは、精製に大きな違いがあるそう。
「食用オイルは植物の持つ栄養素をなるべく多く摂り入れるため、目の粗いフィルターで精製されます。一方、美容用のオイルはアレルギー等の原因となりやすいファイトケミカル(植物に含まれる天然の化学物質)を極力取り除くために、目の細かいフィルターを使用して精製されているのです」(津村さん)
食べれば栄養となる成分も、直接肌に塗布すれば、人によっては肌への刺激となり、かゆみや赤みなどの肌トラブルなどを起こすこともあります。
「オイル(脂質)はわたしたちの身体の最小単位である細胞を作る大切な材料です。必要なオイルを身体の内側と外側の両方から摂り入れることで、“健康”とその先にある“美”を実現できます」(津村さん)
ひとつのオイルで健康も美容もと、一石二鳥を目指すのではなく、それぞれ目的に合わせた必要なオイルを選ぶことが大事。
「食のオイルは積極的に摂りたいオメガ3系を、美容のオイルはなるべく酸化安定力の高いオイルをお選びいただければと思います」(津村さん)
夏に向けてオイルで健康と美をパワーアップ!
食のオイルと美容のオイルの両方に精通する津村さんに、これから夏に向けて、それぞれのおすすめのオイルを伺いました。
「まずは食のオイルですが、夏バテなどで体調を崩しやすい時期には、特に身体の免疫力を高めるオメガ3系のオイル(エゴマオイル、亜麻仁オイル、カメリナオイル等)がおすすめです。体内では生成されない必須脂肪酸のオメガ3を積極的に取り入れることで恒常性維持力が保たれ、疲れにくい身体にしてくれます。ただし、オメガ3系のオイルはデリケートなため、加熱不可・冷蔵保存で使用を。カメリナオイルは加熱調理O K・常温で保存できます」(津村さん)
そして、スキンケアやボディケアには、ホホバオイルを推薦。
「夏は汗をかくことで実はお肌の中は乾燥してしまういわゆる“インナードライ”のリスクが高まります。ホホバオイルは、化粧水などの水分をお肌の中にしっかりと抱え込む力があり、ホホバオイルに多く含まれている『ワックスエステル』は私たちの皮脂にもある大事な肌成分。ホホバオイルでお手入れすることで肌のバリア機能が高まり、夏の時期のエアコンによる乾燥や紫外線などの外的ストレスに負けない肌を目指せます」(津村さん)
いろいろなオイルがあるからこそ、それぞれの特徴を理解することがスタート。季節や自分の体調、肌状態と相談したオイルを選び、内側と外側からのアプローチによって、健康的な美しさに磨きをかけましょう!
取材・文/小林賢恵