「クリスマスケーキと一緒、25過ぎた女性は売れ残り」と言われたりした昭和。
最近はほとんど聞かないが、30年くらい前まで「25歳はお肌の曲がり角」って耳にしたっけ。文字通り、肌の曲がり角で老化が始まっちゃうっていうのと、25歳過ぎたら嫁き遅れの、ダブルミーニングとして使われていたような……。そうそう、クリスマスケーキにも例えられた。
12月25日はクリスマス当日だからケーキは旬、でも1日過ぎた26日のクリスマスケーキは売れ残り。女子も25歳過ぎたら、クリスマスケーキと同じで売れ残り、嫁き遅れと。渦中の世代だったころの私は、自虐的に自分のことを「26日のクリスマスケーキ」なんて言ったりもしていた。でも、私だけでなく友人たちも、嫁き遅れはともかく、肌の曲がり角なんて話題にすらしなかった。季節ごとのファッションや新作コスメや新色については、時間を忘れるくらい盛り上がったりしたのだけれど。
改めて、「25歳はお肌の曲がり角」とは誰が言い出したのか探った。
「25歳なのにマダム」だなんて令和では考えられない……。でも、その広告コピーが刺さった人多数。
「25歳はお肌の曲がり角」は昭和38年、ジュジュ化粧品の広告コピーだったということが判明。商品はマダムジュジュというクリームで、今も現役で¥500ほどで販売されている。
果たして、25歳は肌の曲がり角なのか!? ビューティサイエンティストの岡部美代治さんに教えてもらった。
アルビオン在籍中からさまざまな女性誌や美容誌で、科学的な知識に基づく的確でわかりやすいアドバイスが話題に。美容に携わる編集者やライターの厚い信頼を得て、取材に講演に人気。美容情報を発信する「ビューティサイエンスの庭」を運営。
「昭和38年当時、女性の初婚平均年齢は24.5~25歳くらいで子どもを産む人が多かった。だから、ジュジュ化粧品が『肌が老化に向かう年齢を25歳』と定義したことは理解できます。若さを失い始めるとして『25歳はお肌の曲がり角』っていうコピーを大々的に打ち出したんじゃないかと……。そのコピーに納得する女性が続出して、マダムジュジュは人気になったというわけです」なるほど。さらに、岡部さんは続けた。
『初期老化』と『本気の老化』があります。
「現在は、25歳から老化が始まるというのは当てはまらないような人が多いです。肌のピークは生物学的に18歳くらいから22歳くらいと考えられます。そういった意味では確かに25歳は下り始めかもしれないけれど、まだまだの年齢なんじゃないかな。
30年くらい前、ポーラが『初期老化』っていう言葉を使い始めました。小ジワやたるみなど、主に表皮に現れる肌状態が気になり始める30歳は『初期老化』だと。そして、コラーゲンやエラスチンなどの真皮組織まで影響が及んで、大きなシワや深いたるみなどが出始める40歳前後を『本当の老化』に向き合う年代と定義したんです」
エイジング対策を上手にしている人が増え、肌の曲がり角を遅らせている。
年齢の枠にとらわれない人が増えた現在、「25歳はお肌の曲がり角」なんて世間は言わない。言ったとしたら、何かのハラスメントと騒がれてしまうだろう。でも、多くの女性はそれぞれにエイジング対策をしていて、自分にふさわしいキレイを導き出すことが上手だ。たま~にえっと驚いてしまうほど若く見える人、増えているし。
化粧品撮影・取材・文/N・ピギー