葛藤を抱えながら生き抜く時代。
私は20年間、多くの方の相談をお聞きして思ったことがあります。人間は生きている限り何かに悩むし、悩みは消えることはないということです。
嫌いな相手がいなくなってもまた嫌いな人は出てくるし、仕事もうまくいったかと思えば、今度は家族の問題が出て、モグラたたきのように違う悩みごとが出てきます。
一見、すべてがうまくいっているように思える方でも、真剣に自宅の本棚の整理ができないことにかなりの苦痛を感じていました。さらにこれからは思い通りにならないことが増えてくる可能性があります。さまざまな葛藤を抱えながら生きていく覚悟が必要な時代ともいえます。
前回、幸せな状態でいるために大切なことをお伝えしました。
・朝の日の光を浴びること
・人と繋がりを持つこと
・目標を達成しトキメクこと
これらで人は幸せを感じます。
今までは幸せと言ったら、ドーパミン的幸せの何かを達成することや高揚感を体験することがメインでした。
でもこれからの時代は、今を大切にするセロトニン的幸福、オキシトシン的幸福をベースにして人生を楽しむような人が増えてきています。
自然と人は自分が幸せになる方法を知っている。
今年は、まったく家のことに興味がなかった人も時間ができたことで、パンやお菓子を作ったりしているはず。これらは、達成感も味わえるし、パンをこねることで癒しの時間にもなるし、作ったものを投稿して“いいね!”をしてもらえる、自分もおいしく食べることができるという、幸せを感じる要素がすべて詰まっていると思いました。
本来なら「感染してしまう恐怖や仕事がどうなるのだろう」という不安がよぎるもの。それにもかかわらず、デパ地下で夕食用のお惣菜を買っていたクライアントの方から「餃子や手の込んだ煮物など面倒と思うようなものを丁寧に作ってみた」と、報告をいただきました。このように花が自然に太陽に向かって咲くように、人間も明るい方向に自然と向かうたくましさを持っていると、感じざるをえませんでした。
お金や地位や名誉を手に入れようとしていたドーパミン的幸福は確かにわかりやすい幸福感がありましたが、仕事に翻弄されてプライベートはボロボロ(30代の私)、見た目はブランドもので覆われていた時代は今となってはカッコ悪い気がします。
それぞれの幸福軸を整えよう。
皆が自分の人生をもう一度振り返り、心と身体の健康、人とのつながりの大切さを知り、今までやったことのない料理やお菓子作りに挑戦したりすることは、それぞれが幸福を基盤とした自分の軸を整えているように思うのです。その上でまた仕事やプライベートに対してプチ目標を持っていくと、心身ともにパフォーマンスが100%発揮できる状態で、今まで以上にがんばれるモチベーションが上がってくるはずです。
いろいろ大変なことも多いけれど、悪いことばかりじゃないね!
最後に、料理などしてこなかったけれど、頑張っている方はハンドケア、自分を大切にするケアも忘れずに!
文/井上野乃花