幸せホルモン“オキシトシン”が効く!
withコロナライフに慣れてきたものの、心はちょっとお疲れ…。そんな時は無理せず、自分をいたわってあげましょう。そこで、話題の幸せホルモン“オキシトシン”に注目。なんでも心のストレスケアのみならず、健康や美容にもさまざまな嬉しい効果があるとか。オキシトシンの研究で知られる桜美林大学教授の山口創先生に教えてもらいます。
【オキシトシン効果】ストレスケア、免疫力アップ、絆も深める。
――オキシトシンというフレーズを最近よく聞きますが、どんな効果があるのでしょうか?
「オキシトシンはもともと出産の際に分泌されるホルモンとして知られていました。子宮を収縮して陣痛を促したり、お母さんの緊張や不安、痛みをやわらげるなどの効果があります。これは100年以上も前から知られているのですが、近年の研究で、他にもさまざまな効果があることがあきらかになりました。
脳に放出されたオキシトシンは、脳で感じる『幸せ』に大きく関わります。さらに分泌されたオキシトシンが血管を通って体内を巡り、心拍数を落ち着かせたり血圧を下げるなどの作用も。体と心をリラックスさせて整え、免疫力を高めてくれます。
オキシトシンが分泌されると……
・ストレスに強くなる
・痛みをやわらげる
・心がリラックスする
・幸せな気分になる
・人との絆、愛情を深める
さらにオキシトシンはスキンシップによってとても多く分泌されることから“幸せホルモン”のほかにも、“愛情ホルモン”や“絆ホルモン”とも呼ばれていますね。親子や夫婦、大切な人との信頼感を高めてくれます」
いいことがたくさん! では早速、山口先生がおすすめするオキシトシンの分泌方法をご紹介します。
【オキシトシン分泌の秘訣1】好きな人と触れ合う、一緒に過ごす。
「まず、いちばんは好きな人に触れること。ハグする、手をつなぐなど触れ合うことがオキシトシンをもっとも多く分泌させます。これを『タッチケア』と呼び、触れられる人だけでなく、触れる人にもオキシトシンが出ることがわかっています。
最近なら、オンラインの飲み会や電話で話をするのもいいですね。ネットでコミュニケーションをとりながら食事をしたり、ゲームするのもおすすめ。同じ空間ではなくても一緒に時間を過ごすことが大切です」
【オキシトシン分泌の秘訣2】ボランティア活動をする。
「自分ではなく“人のために何かをする”ことが、実はオキシトシンの分泌を促します。もうひとつの幸せホルモンとして知られる『セロトニン』はひとりでも感じられる幸福感、例えば、美しい自然を見て感動するといったことで出てきますが、オキシトシンは人を想うことで出てくるんですね。
直接会って何かができなくても、相手の幸せを願って瞑想することでも分泌されます。これは慈悲の瞑想とも言われます」
【オキシトシン分泌の秘訣3】ペットに触れる、かわいい動物を見る。
「かわいい動物に触れるのもオキシトシンの分泌にはとても効果的です。もしペットと暮らしていない人でも、動物のかわいい写真や動画を見るだけでも十分。何かお気に入りのものをブックマークしておくのもいいですね」
【オキシトシン分泌の秘訣4】セルフタッチケア
「先ほどの人と触れ合うことができない時は、自分自身に優しく触れてあげましょう。ポイントは手のひら全体を使ってゆっくりさするように行うこと。アロマオイルなど使って心地いい香りに包まれて行うのもいいですね。触覚は腕に多いので、腕からはじめるのがおすすめです。
ちょっと元気がないな、気持ちが弱っているなと感じたら、柔らかく感触のいいボールやタオルをギュッと握ってみましょう。手のひらが受ける心地いい感触と力を込めることで、元気が湧いてきますよ」
いかがでしたか? 人を思うことで出てくるとは、とても素敵なホルモン!
ぜひ試して、幸せ感を高めていきましょう。
写真提供・取材・文/杉浦凛子