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COLUMN】【Inner Care

2020.07.07

笑いが現状を救う!? 誰でもできる幸福感の高め方。

脳内麻薬「エンドルフィン」を斬る!「笑い」がもたらす幸福感。

昨日までの当たり前がいとも簡単に崩れ去る現実を目の当たりにし、気づくと忘れそうになっていたものがあります。「笑い」です。そういえば最近いつお腹抱えて笑ったっけ?という人に贈る脳内麻薬「エンドルフィン」と「笑い」の関係を近畿大学医学部内科学教室心療内科部門助教の阪本亮先生にうかがいます。

阪本亮(さかもと・りょう)さん 近畿大学医学部内科学教室心療内科部門助教 大阪府生まれ。近畿大学大学院修了、博士。専門は心身医学、緩和医療学。「笑い」が身体的・心理的に与える影響について研究をする。
阪本亮(さかもと・りょう)さん 近畿大学医学部内科学教室心療内科部門助教 大阪府生まれ。近畿大学大学院修了、博士。専門は心身医学、緩和医療学。「笑い」が身体的・心理的に与える影響について研究をする。

今こそ「笑い」で幸福感に浸ろう!

――「笑い」とはそもそも何でしょう?

「『笑い』は、私たち人間が生きていく上で行うコミュニケーションの中でも、必要不可欠なものです。笑うことは、幸福感を高めるために人として備わっている普遍的な表現方法です」

――新型コロナウィルスの影響で多くの人の「幸福感」が減っていると感じます。「笑う」ことで幸せになれるのでしょうか?

「『笑う』ことで

・免疫を高める

・ストレスの軽減

・ナチュラルキラー細胞の働きを高める

・緊張、不安、イライラを減らす

・痛みを感じにくくする

・血圧を下げ、心筋梗塞のリスクを減らす

など、さまざまな良い効果があることが分かっています。

人間は良い状態にも悪い状態にも『馴化(じゅんか)』と言って、慣れる習性を持っています。現に今の私たちも、数か月前までは考えられなかったリモートワークやズーム飲み会などにも不満はあれど受け入れ、『馴化』しています。コロナ禍でもいかに幸福感を高め、健康に生きていくかが、今後を生き抜くポイントではないでしょうか」

様々なマイナス感情が、長期間にわたり心から笑うことで軽減されることが分かりる。資料提要/阪本亮先生
様々なマイナス感情が、長期間にわたり心から笑うことで軽減されることが分かりる。資料提要/阪本亮先生

「脳内麻薬エンドルフィン」とはいったい…!?

――「エンドルフィン」別名、脳内麻薬というホルモンが「笑い」と関係していると聞いたのですが。

『エンドルフィン』とは神経伝達物質の一つです。『エンドルフィン』は多幸感を高め、鎮痛や気分効用作用があり、モルヒネと類似した効果があるため『脳内麻薬』と呼ばれるのでしょう。

例えばスポーツ選手が大事な試合中に骨折してしまったけれど、なんとか走ることができ、試合を終えられた。こういう時、人間の体はその人の危機を察知し、エンドルフィンを放出して骨折の痛みを感じなくさせ、その場を乗り切る力を与えたと考えられます。エンドルフィンは私たちの危機的状況を救ってくれるホルモンの一つなのです。

では、エンドルフィンがコロナ禍で生きる私たちに現在どんな作用をもたらすか、考えてみましょう。緊急事態宣言が解除されたとはいえ、リモートワークやマスク着用がニューノーマルとなった今、明らかに以前より他者とのコミュニケーションが減ると、笑顔で誰かと話したり、面白い話題に爆笑する機会も減ったはず。このような状況では、エンドルフィンは分泌されにくいでしょう。こういう時は意識して笑いを生活にとり入れる『笑活』が効果的です」

「笑活」で美肌は叶う?

――「笑活」によってエンドルフィンが分泌されると、美肌など美容にも効果はありますか?

「ストレスがあると女性に限らず誰もが体調を崩し、不眠にもなりやすく、そうしたことから肌荒れや肌のくすみ、肥満など多くのトラブルを引き起こします。『笑い』を意識し、幸福感が高まれば健康になり、それが美容にも良い効果をもたらすと考えられます」

ここを深掘り!

笑うだけで分泌されやすくなる脳内麻薬「エンドルフィン」。幸福感を高め、美容にも効果アリ。笑う門には福と美来る!

 

資料提供/阪本亮先生(近畿大学医学部) 写真提供・取材・文/三尋木志保